第II部 国土交通行政の動向 

2 効率的な物流システムの構築のための施策

(1)物流における情報化の推進

 物流事業では、取引の効率化等の業務の生産性向上を目指した取組みや、渋滞の回避等の外的要因による非効率化への対策、物流に関係する行政手続の最適化といった、多様な側面において適切にITを導入することが重要である。そして、これらITの標準化等を的確に推進することが情報化による効果を最大化することにつながる。
 例えば、輸出入及び港湾に伴う行政手続については、「国際海上交通簡易化条約(FAL条約)」(注1)の締結とそれに併せたシングルウィンドウシステム(注2)の改修とともに、その業務・システムの効率化、迅速化のための最適化計画を策定したところであるが、今後、同計画に従い、より利便性の高い電子申請システムの構築を目指すこととしている。また、物流取引の情報化に必要な物流EDI(注3)については、国際港湾物流分野において港湾物流情報プラットフォーム(注4)として、国際標準にも準拠したEDI標準の構築を進めている。さらに、年々注目度が増している電子タグ(注5)についても、各所で導入に向けた検討がなされ、電子タグを活用した物流業務モデルの導入が、物流の情報化・効率化の促進につながることが期待されている。


(注1)船舶の入出港に付随する手続等の国際標準を定めることで、国際海運に関する手続の簡素化・迅速化を図ることを目的とする条約
(注2)複数の手続を一回の入力・送信で行うことを可能とするもの。これにより、共通入力項目の重複入力を排除することが可能となる。
(注3)企業間のコンピュータをオンラインで結び、取引に関する情報を企業間で交換するもの
(注4)電子情報の授受における標準項目やフォーマットなどの共通ルール
(注5)ICチップとアンテナを内蔵したタグ。この中に個別の識別情報等を格納しておくことで、電波を利用し、接触することなく近接した距離において格納されたデータを読み書きすることが可能となる。

 

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