第II部 国土交通行政の動向 

(3)地域の防災力の向上

1)高齢者や幼児等の災害時要援護者対策
 病院、老人ホーム、幼稚園等の災害時要援護者関連施設に係る危険箇所について、砂防えん堤等の土砂災害防止施設や人工リーフ等の海岸保全施設を重点的に整備している(平成17年度は約699箇所で実施)。また、災害時要援護者関連施設の管理者等へ土砂災害の危険性に関する注意喚起(17年6月に約4,800施設等に対して訪問等により土砂災害情報を提供)を行うとともに、「土砂災害防止法」に基づき、土砂災害特別警戒区域等内への災害時要援護者関連施設等に係る開発行為の制限等を推進している。
 さらに、近年発生した災害では、高齢者や幼児等の災害時要援護者の被災が目立っていることから、平成17年に「水防法」を改正し、浸水想定区域が指定された市町村は、市町村地域防災計画に位置付けた災害時要援護者関連施設への洪水予報等の伝達方法を定めるよう義務付けるなど、円滑な避難の支援策を講じている。

 
図表II-6-1-20 土砂災害による死亡・行方不明者に占める災害時要援護者の割合(平成12〜16年)

平成12年から16年にかけて、土砂災害による死者・行方不明者に占める幼児・高齢者等の災害じよう援護者の割合は、58.6%であった。
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2)水防体制の強化
 水防団員の減少、高齢化等による水災防止力の低下を補うために、「水防法」の改正により水防協力団体制度が創設された。これにより水防協力団体に指定されたNPO法人等が、監視・警戒等の水防活動への協力業務等を行えるようになり、水防体制の強化が図られた。

3)防災教育の推進
 災害による被害を軽減するためには、防災に関する教育・啓発活動を推進していくことが重要である。国土交通省では、学校や市民団体等の要望に応じ、講師の派遣、広報用ビデオの貸出等を実施するなど、積極的に防災教育活動を支援している。

 

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