第II部 国土交通行政の動向 

(6)航空保安対策の推進

1)航空における保安対策の強化
 米国同時多発テロ以降、航空保安をめぐる情勢は依然厳しい状況にあり、ICAOが定める国際標準への適合やG8シーアイランドサミットの合意の履行等から、我が国における航空保安対策についても、更なる充実・強化が必要となっている。このような状況を踏まえ、従来、空港警戒水準の最高レベルであった「フェーズE」を平成17年4月より「レベルI」として恒久化し、特定の便等に対する脅威が高まった場合のレベルとして、「レベルII」及び「レベルIII」を新たに設定するとともに、航空保安対策基準の充実・強化、国の財政措置拡充等により航空保安体制の強化を図っている。
 また、平成17年6月からは、貨物ターミナルビルの立しょう警備を義務付けるなど空港における不法侵入対策を強化するとともに、同年10月から、航空貨物に対し、荷主から航空機に搭載するまでの間の一貫した保安対策を確保する制度(Known Shipper/Regulated Agent制度)を導入するなど、航空貨物の保安対策を強化している。
 さらに、空港内の特に重要な区域である空港ターミナルビル内の搭乗口や待合スペースに立ち入る航空会社職員や空港従業員等について、爆発物や危険物等が航空機内に持ち込まれることが無いよう保安検査を実施するとともに、空港の保安体制に対する査察の強化、航空貨物のX線検査装置等による爆発物検査の導入等、ICAOの策定する国際標準等を踏まえた航空保安対策の推進を図っていくこととしている。

2)航空保安に係る国際的な連携・協力
 国際的なネットワークを有する航空において、実効性のあるテロ対策を展開していくためには国際的な協調が不可欠である。このため、ICAOは全世界的な航空保安体制の強化のため、航空保安行動計画を策定し、推進しており、我が国は、積極的に財政的及び人的貢献を行っている。また、ASEAN地域において、各国の連携・協力の強化に向けた専門家会合を開催しているほか、航空保安専門家を集めた航空保安セミナーの開催、保安検査機器の無償導入、保安検査体制に対する助言等の支援を実施している。

 

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