第II部 国土交通行政の動向 

(3)物流分野における環境施策の推進

 現在、国内物流における輸送機関分担率(輸送トンキロベース)では自動車が最大であり、50%を超えている。トラックのCO2排出原単位(注1)は、大量輸送機関である鉄道、内航海運に比して大きく、運輸部門における輸送機関別CO2排出割合においても、鉄道、内航海運が全体の数%であるのに対し、トラックは営業用・自家用ともに15%を超えている。円滑な国内物流を維持しつつ、CO2の排出を抑制するためには、トラック単体の低燃費化や輸送効率の向上と併せて、トラックの自営転換(注2)や、鉄道、内航海運等エネルギー消費効率の良い輸送機関の活用を図ることが必要である。このため、国土交通省では、モーダルシフト(注3)促進に向けたアクションプログラムに基づき、鉄道及び内航海運の抱えるボトルネックの解消や荷主企業と物流事業者の連携の強化による物流のグリーン化等を推進している。
 具体的には、鉄道においては、物流の大動脈である東京・北九州間において1編成26両(1,300トン)輸送を実現する山陽線の輸送力増強事業の推進等により利便性向上を図っている。内航海運においては、次世代内航船(スーパーエコシップ)の開発、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナル(注4)の拠点的整備、RORO船(注5)等の建造促進等を行っている。
 また、荷主企業と物流事業者の協働による総合的な地球温暖化対策が実施されるような環境づくりのため、国土交通省では、平成17年度にグリーン物流パートナーシップ会議を開催し、経済産業省、荷主団体、物流団体等の広範な参加を得て裾野の広い展開を図っており、CO2排出量算定手法の策定等に努めている。また、同会議において推薦されたモデル事業のうち、環境負荷の低減効果が明確なものに対し費用の一部を補助する制度を実施している。17年度においては、内航RORO船を利用し、復路で空車回送となっているトレーラーにボックスパレットを利用して燃料用廃タイヤを積載し、環境負荷の抑制を図る事業や、4トントラック2台を連結して幹線共同輸送を行う事業等を支援した。
 さらに、物流の効率化を図るため、車両の大型化やこれに伴う橋梁の補強を行うとともに、国際海上コンテナターミナルの整備及び多目的国際ターミナルの拠点的整備を推進するほか、接岸中の船舶への陸上電力の供給に関する検討等を行っている。

 
図表II-7-1-5 グリーン物流パートナーシップ会議を通じた取組みの促進

荷主企業と物流事業者の協働による総合的な地球温暖化対策が、実施されるような環境づくりのため、グリーン物流パートナーシップ会議を開催し、関係省庁、荷主団体、物流団体等の広範な参加を得て、裾野の広い展開を図っており、グリーン物流モデル事業(補助金による支援)、二酸化炭素排出量算定手法の作成、普及・広報の取組みを行っている。


(注1)貨物1トンを1km輸送するときに排出するCO2の量
(注2)荷主の自家用トラックから輸送効率の良い営業用トラックへの利用転換を行うこと
(注3)環境負荷の小さい鉄道・海運利用へと、貨物輸送を転換すること
(注4)主として国内輸送貨物を扱うために用いられるターミナル
(注5)ロールオン・ロールオフ船の略。トレーラーや商品車を自走により積卸しする荷役方式の船舶

 

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