第II部 国土交通行政の動向 

(5)新たな横断的施策の取組み

 交通政策審議会環境部会の中間とりまとめ(平成16年5月)において、運輸部門における地球温暖化対策の見直しに当たっては、従来からの分野ごとの対策だけではなく、産業界、地域、NPO等との連携の視点が重要であるとの指摘がなされた。これを受け、前述の「グリーン物流パートナーシップ会議」を通じた荷主と輸送事業者の連携・協働、「通勤交通マネジメント」(注)による企業の通勤等における公共交通機関の利用促進、省エネ法の運輸事業者等への適用、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」による輸配送の効率化促進、「環境的に持続可能な交通(EST)モデル事業」による地域における取組みの支援等を横断的施策として推進していく。

 
図表II-7-1-7 エネルギーの使用の合理化に関する法律改正(運輸分野)の概要

省エネ法が改正され、運輸事業者等が適用対象となった。一定規模以上の輸送能力を有する輸送者、一定規模以上の貨物輸送を発注する荷主が対象で、省エネ計画の作成、エネルギー消費量等の定期報告等が義務づけられた。また、企業が公共交通機関の利用推進等の努力義務もある。

 
図表II-7-1-8 環境的に持続可能な交通(EST)モデル事業

環境的に持続可能な交通の実現を目指す先導的な地域を募集し、関係省庁等の連携により集中的に支援している。モデル事業には、環境目標の設定・検証、取組み効果の持続性の確保を求め、環境の観点から施策の効果を確保し、地方公共団体、交通事業者、警察関係者等、地元の幅広い関係者が参加して事業を推進している。モデル事業には、公共交通機関の利用促進、自動車交通流の円滑化、歩行者・自転車対策、低公害車の導入、普及啓発がある。


(注) 一人一人の通勤交通が、社会的にも個人的にも望ましい方向(例えば、過度な自動車利用から公共交通・自転車等を適切に利用する方向)に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策

 

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