第II部 国土交通行政の動向 

(4)アスベスト問題への対応

 大きな社会的問題となったアスベスト(石綿)による問題については、政府全体として、平成17年7月以降、「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」を順次開催し、同年7月29日に「アスベスト問題への当面の対応」を取りまとめ(同年8月26日改訂、同年9月29日再改訂)、各府省の緊密な連携の下、1)被害の拡大防止、2)国民の不安への対応、3)過去の被害への対応、4)過去の対応の検証、5)実態把握の強化を柱として各種の対策を実施してきた。また、同年12月27日には、「アスベスト問題に係る総合対策」を取りまとめ、1)隙間のない健康被害者の救済、2)今後の被害を未然に防止するための対応、3)国民の有する不安への対応について取り組んでいくこととされた。
 国土交通省では、社会的問題となった後直ちに、「労働安全衛生法」等のアスベストの取扱いに係る関係法令等の周知を行った。このほか、建築物における吹付けアスベスト等の使用実態について、国の機関の建築物、公共住宅、民間建築物、運輸関連施設の調査、運輸関連企業や建設業等の関係団体を通じた健康被害等の実態調査等を実施した。また、平成17年8月以降、社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会を順次開催し、同年12月12日に、建議「建築物における今後のアスベスト対策について」が取りまとめられ、「建築基準法」による規制等、解体時等における飛散防止等が必要であるとされた。
 さらに、アスベスト問題について省全体としてより具体的にかつ速やかに対応するため、「国土交通省アスベスト対策推進本部」を平成17年11月に設置して対応策について検討を行い、同年12月27日に国土交通省としての総合対策を取りまとめた。
 上記の吹付けアスベスト等の使用実態調査、建議、省の総合対策等を踏まえ、今後の被害を未然に防止するため、飛散・ばく露のおそれがある早急に対応すべき施設について、吹付けアスベスト等の早期の除去等を実施・促進するとともに、建築物における吹付けアスベスト等の使用を規制する「建築基準法」の改正等を行うこととしている。また、隙間のない健康被害者への対応として、第164回国会で成立した「石綿による健康被害の救済に関する法律」について、その速やかな施行に協力していく。さらに、国民の有する不安への対応として、アスベストに関する調査研究を早急に行うとともに、住宅性能表示制度等においてアスベストに関する情報が明示・提供されるような措置を講じることとしている。

 

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