第1節 暮らしにおける安全・安心の確保 

1 自然災害対策(←第1章第1節2(1)3(2)

【水害や土砂災害を防ぐ】
 地球温暖化に伴い台風等による大雨や集中豪雨等の頻発が懸念される中、地域を脅かす水害や土砂災害から暮らしを守り、大規模な災害が発生しても被害を最小限に食い止めるため、河川堤防やダム、下水道の整備、既存施設の機能向上、公園等における雨水の流出抑制のための貯留・浸透施設の整備等を進める。さらに、ハザードマップの整備や、危険な地域の土地利用規制、安全な住まい方への誘導による被害に遭いにくい地域づくり等ソフト対策をあわせて実施し、総合的な対策を進める。
 また、地震や火山噴火に伴う土砂災害による被害防止にも取り組む。

【地震の被害を防ぐ】
 地震で建物の下敷きや生き埋めになる悲惨な被害を少しでも防ぐため、住宅・建築物や宅地の耐震化を促進する。特に、耐震改修とアスベスト対策に一体的に取り組む制度を作り、既存の住宅・建築物の総合的な安全性を確保する。
 交通機関での人的な被害を防ぎ、非常時の輸送能力を確保するため、主要な鉄道駅等の耐震補強、空港施設等の耐震性向上、港湾における耐震強化岸壁等の整備、緊急輸送道路等の橋梁の耐震補強など、交通インフラの耐震対策を進める。
 また、河川構造物や海岸堤防の耐震化、下水道施設の耐震化など、社会インフラの耐震対策も着実に進め、災害に強い国土にする。

【まちの防災力を高める】
 地震時に避難や救助が阻まれたり大火災が発生したりするのを防ぐため、危険な密集市街地の整備を行うとともに、狭隘な道路の解消を促進することにより、安全な住宅市街地の形成を図る。
 また、災害時の住民の避難場所や防災拠点となる防災公園等の整備や、アクセスを確保するための広域防災ネットワークの構築を推進する。
 
図表I-2-1-1 まちの防災力を高める取組み

図表I-2-1-1 まちの防災力を高める取組み

【津波や高潮の被害を防ぐ】
 沿岸域では、津波や高潮による被害を防ぐために、堤防等の老朽化対策や未整備箇所における整備等を進めるとともに、ハザードマップの作成支援等のソフト施策を進める。

【防災情報をもっときめ細かく正確に】
 災害関連情報をあらかじめできる限り正確に知ることで的確に対処できるよう、集中豪雨等に対する市町村単位での気象警報の提供や、局地的に発生する突風等に対する短時間予測情報の提供など、防災気象情報の高度化を推進するとともに、地上デジタル放送等を活用し、迅速な洪水予警報等の河川情報をいつでも、どこでも、誰でも入手できる情報基盤整備を進める。
 地震に対しては、次世代地震津波監視システムの整備や緊急地震速報の精度向上など、監視・情報提供体制を強化する。

【災害時に機敏に対応できる体制をつくる】
 発災直後から被害状況等の調査を行うなど大規模自然災害に速やかに対処するために、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)により機動的に対応する。さらに、被害の拡大を防止するための緊急事業を実施できるようにするなど、対応体制の強化を進める。
 また、緊急対応の拠点となる、基幹的広域防災拠点の整備と運用体制の構築を進める。
 首都直下地震等の災害が発生し省庁自体が被害を受けた場合でも、業務を中断せず、中断した場合でも可能な限り短時間で回復するために、国土交通省をはじめ中央省庁では業務継続計画(BCP)を策定している。
 さらに公共交通、物流、建設産業等の重要業務が災害時にも継続できるよう、関係団体等へのBCP普及を促進する。

 

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