第3節 総合的・一体的な物流施策の推進 

2 効率的な物流システムの構築のための施策

(1)物流における情報化の推進
 物流分野では、取引の効率化、渋滞の回避、物流に関係する行政手続の最適化等、多様な側面においてICTの導入を的確に推進することが重要である。
 例えば、輸出入及び港湾関連の行政手続については、業務・システムの最適化計画に従い、より利便性の高い次世代シングルウィンドウを実現するため、府省共通ポータルの開発を進め、平成20年10月12日に稼働を開始した。今後も、更に利便性の高いシステムとなるように取り組むこととしている。

(2)地域間物流の効率化
 複合一貫輸送等物流の効率化に向けて、貨物輸送力の増強や港湾・貨物駅等の物流結節点の整備等を進めている。鉄道貨物輸送については、輸送需要の多い東京・福岡間について、山陽線に引き続き、平成19年度より、北九州・福岡間の輸送力増強のための施設整備を実施している。
 また、トラック貨物輸送については、輸送全体の効率化を図るため、空港・港湾等と高速道路等を結ぶアクセス道路や、車両の大型化に対応した広域的な道路ネットワークを整備するとともに、17年10月施行の「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」により、総合効率化計画(注1)に関する認定制度を創設し、認定を受けた事業者に支援を行っている。20年11月末時点で同法に基づく総合効率化計画の認定は110件である。

(3)都市内物流の効率化
 地球温暖化問題、コンパクトシティの形成、大規模複合ビルの増加、駐車規制の厳格化等を背景に、都市内物流の効率化が課題となっている中、国土交通省では平成20年度より、地域の関係者の連携促進による総合的な都市内物流の効率化へ向けた取組みへの支援を実施している。
 また、「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づき、20年3月末までに22都市、29箇所の流通業務市街地(注2)の整備が行われ(うち27箇所が稼動中)、流通業務施設の適切かつ集約的な立地により都市の流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図っている。
 さらに、路上荷捌き駐車を削減するため、駐車場附置義務条例に荷捌き施設を位置付けるよう地方公共団体に促している。20年3月末現在で82自治体において、一定の商業施設等への荷捌き施設の設置義務付けを内容とする条例改正が実施された。
 このほか、大都市圏の通過交通を迂回させる環状道路・バイパス等の整備や踏切道の改良により渋滞の原因であるボトルネックの解消を図るとともに、積載効率の向上を目的とし、トラックの自営転換(注3)等のソフト施策を併せて推進している。

(4)新たな物流サービスの取組み
 荷主企業の本業への経営資源集中や、物流部門における規制緩和等を背景に、新たな物流サービスである3PL(注4)事業への物流事業者の進出が増加している。
 国土交通省では、3PL事業をさらに促進するために、人材育成の面から3PL研修を実施するとともに、ソフト基盤整備の面から環境配慮型3PLに関する手引を作成している。


(注1)高速道路のインターチェンジ、港湾等の物資の流通を結節する機能を有する社会資本等の近傍に立地し、自動ラックや情報処理システム等の設備を備えた特定流通業務施設を中核として、流通業務を総合的かつ効率的に行う計画
(注2)トラックターミナル、倉庫等の物流関連施設が集約的に立地した大規模物流拠点として、郊外部の適地に建設された市街地
(注3)自家用トラック(自家用貨物を自ら運ぶトラック)から、複数荷主の積合せ貨物の運送等によって輸送効率の向上を図り、運送コストを低下させるため、営業用トラック(他人からの依頼に応じ、貨物を有償で運ぶトラック)へ転換すること
(注4)サード・パーティー・ロジスティクス:荷主から物流を一貫して請け負う高品質のサービス

 

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