第2節 自然災害対策 

コラム 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震への対応

 平成20年6月24日8時43分頃、岩手県内陸南部を震源とするマグニチュード7.2の大規模な地震が発生しました。この地震により、岩手県の奥州市、宮城県の栗原市で震度6強を観測したほか、各地で大きな被害が発生しました。国土交通省では、緊急災害対策派遣隊「TEC-FORCE(テックフォース)」の派遣、河道閉塞(天然ダム)への対応を通じて、被災状況の早期把握、被害拡大の防止等に大きく貢献しました。
 また、海上保安庁では、県からの要請に基づいてヘリコプターにより、内陸部の孤立者153名の救助や食料、災害救助犬、災害対応人員等の搬送を実施しました。
1.TEC-FORCEの活動について
 国土交通省は、大規模自然災害時に被害状況の調査、被害の拡大防止や被災地の早期復旧等に係る技術的支援を行うことを目的として、同年5月にTEC-FORCEを創設しました。
 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震においては、地震発生の当日から、現地へ隊員を派遣し(延べ1,499人・日)、被災状況の調査や施設点検、復旧工法の技術的指導等を行いました。また、照明車や衛星通信車、ポンプ車等の災害対策車両を派遣しました(延べ515台・日)。
2.河道閉塞(天然ダム)への対応
 地震による土砂災害については、宮城県、岩手県、福島県、秋田県で計48件が報告され、死者10名、行方不明者8名の被害が発生しています。特に、岩手県一関市及び宮城県栗原市にまたがる栗駒山系一帯では15箇所の河道閉塞(天然ダム)を確認し、湛水後の越流等により閉塞箇所が侵食されて決壊又は土石流が発生する等の恐れがあったことから緊急的な対策が必要となりました。
 河道閉塞への対策については、高度な技術力を要することなどから、岩手・宮城両県等からの強い要望を踏まえて直轄砂防災害関連緊急事業による緊急的な対策を直轄砂防事業施行区域外において初めて実施することとし、閉塞箇所への新たな排水路の設置や閉塞箇所下流における既設砂防えん堤の除石等により不安定土砂の安定化や流出土砂に対する堆砂容量の確保等を行いました。
 また、「大規模な河道閉塞(天然ダム)の危機管理に関する検討委員会」を設置して危機管理を行うために必要な事項の提言を得るなど、地震への対応を通じて得られた課題を解決し、地震に起因する土砂災害の減災対策を強化していきます。
 
河道閉塞(天然ダム)の決壊等による危機管理体制の強化

 

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