第2節  国土・社会資本の将来ビジョンの策定・推進 

第2節  国土・社会資本の将来ビジョンの策定・推進

1 国土政策の推進

 総合的な国土の形成に関する施策の指針として、「多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく暮らしやすい国土の形成」を新しい国土像として掲げる国土形成計画(全国計画)及び「持続可能な国土管理」を基本方針とする国土利用計画(全国計画)に基づき、総合的な国土政策を推進することとしている。
1)広域地方計画の策定・推進
 広域地方計画は、国土形成計画(全国計画)に示された新しい国土像を具体化するものとして、東北から九州までの各広域ブロックの地域戦略と、その具体的な取組みをまとめた計画であり、国の地方支分部局や地方公共団体、経済団体等をメンバーとする広域地方計画協議会における協議を経て、平成21年8月に国土交通大臣により決定された。これを踏まえ、複数都道府県が連携・協力して取り組む広域の観光振興や産業活性化等の推進に必要な基盤整備やソフト対策を支援する仕組みを整備することとしている。
2)集落の課題への取組み
 中山間地域など生活や生産等の面で不利な地域では、人口減少、高齢化の進展が著しく、維持・存続が危ぶまれる集落がある一方、住み続けたいとの意向を持つ住民も多く、現に住んでいる人の暮らしの安定・安心の確保が緊急的課題である。こうした課題に対し、(ア)日常的な医療、買い物等の基礎的な生活サービスの確保、(イ)少額の収入を追加する多業による生計の維持、(ウ)管理放棄地への適切な対応が必要であり、これらを実現するために「人材の活動環境の整備」と「資金の確保」が重要である。今後、関係府省と連携して具体的な施策を検討することとしている。
3)新たな大都市圏戦略の策定及び広域的な戦略目標の実現を促す制度の構築
 ソウル、シンガポール、上海、天津、グレーター・ワシントン等、世界における成長著しい大都市圏は、国を挙げて競争力向上のための取組みを推進しており、我が国の大都市圏についても、現行の大都市圏計画を抜本的に見直し、地域主権改革の考え方に留意しつつ、国際的、広域的視点を踏まえた国家戦略的観点からの「大都市圏戦略」を新たに策定する作業を進めていく。
 また、我が国の広域的な地域が、真に国際競争力のある大都市圏へと自立・成長するための広域的な戦略目標策定とそれを実現する「担い手」となる産学等の民間連携主体を育成、活性化することを目指した制度構築に向けて検討することとしている。


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