コラム 我が国の高速鉄道システムの海外展開
近年、地球環境問題への対応の観点から、CO2排出量が少ない効率的な輸送機関として、鉄道が世界的に注目され、多くの国が国家プロジェクトとして鉄道整備を積極的に検討、推進しています。
米国では、2009年(21年)4月に高速鉄道戦略計画が発表され、2010年(22年)1月末には、高速鉄道整備のための連邦政府補助金の配分が決定されました。ブラジルにおいても、リオデジャネイロとカンピーナスを結ぶ高速鉄道計画が、ベトナムにおいても、ハノイとホーチミンを結ぶ高速鉄道計画が進められています。
我が国の鉄道技術は、個別の要素技術を高度に統合することにより、高い環境性能、安全・安定・効率輸送を実現しています。特に新幹線は、省エネ性、大量輸送、低い建設・維持管理費等の面で、他国の高速鉄道に比べて優れており、1964年の東海道新幹線開業以来45年に渡る乗客死傷者数ゼロという安全性や、1列車あたりの平均遅れ時間1分未満という高い信頼性を実現しております。
このように優れた我が国の鉄道システムの海外展開を図ることは、我が国の鉄道産業の維持・発展や鉄道技術の継承・発展の観点はもとより、相手国の経済・社会の発展への寄与による二国間関係の強化、地球環境問題への貢献という点で重要です。
このため、各国で進む鉄道プロジェクトへの我が国鉄道システムの導入を実現するべく、官民連携の下でのトップセールスの実施、我が国鉄道技術・規格の国際規格化、関係省庁と連携した公的金融による支援に積極的に取り組んでいくこととしております。
2009年(21年)11月には、来日した米国大統領に対して、首相が我が国の新幹線について紹介しました。2010年(22年)1月には、国土交通副大臣が、我が国の鉄道界を代表する企業幹部の参加を得て、米国ワシントンDCにおいて高速鉄道セミナーを開催するとともに、米国運輸長官等の要人と会談し、また、国土交通政務官が、日本企業連合とともに官民合同でブラジルを訪問して、総理親書を手交した上で、ブラジル国政府要人と会談するなど、トップセールスを積極的に展開しています。