第2節 急がれる次なる災害への備え 

第2節 急がれる次なる災害への備え

 我が国は、地震・津波、火山噴火、風水害、雪害など、世界でも有数の多種多様な自然災害に見舞われる国土の上に成り立っている。過去幾多の災害被害を教訓に、災害の予防、応急対応、復旧・復興の各段階での災害対策を強化することにより、社会の災害に対する脆弱性を低め、災害被害を軽減する取組みが進められてきた。
 その一方で、我が国においては、地震はいつどこで起きてもおかしくないことに加え、今般の東日本大震災のように大津波を引き起こしうる海溝型巨大地震である東海地震や東南海、南海地震の切迫性が指摘されているほか、発生すれば甚大な被害が想定される首都直下地震など、巨大地震や大津波の脅威から逃れることはできない。また、地球温暖化の影響による大雨の頻度の増加など、自然条件の変化に伴う災害リスクの拡大が懸念されている。
 加えて、社会環境の面では、高齢化、過疎化の進展や都市構造の変化等により新たな防災上の課題への対応が求められる状況となっている。

 国土交通省が2011年2月に実施した国民意識調査(以下、「国土交通省意識調査」)において、災害リスクが高まる要因を聞いたところ、「住宅その他の建物の老朽化、耐震不足」や「高齢者などの災害時要援護者の増加」等のほか、小規模な都市ほど、「高齢化・過疎化などによる地域で助け合う力の低下」、「予算・人員の縮減などによる行政の災害対応能力の低下」、「地場産業の衰退などによる災害復旧能力の低下」といった課題を挙げる人が多くなり、また、大都市では、「高層マンション・ビルや地下街などの都市構造の高度化」といった課題を挙げる人も多くなっている。
 
図表84 災害リスクの拡大要因(国土交通省意識調査結果)
図表84 災害リスクの拡大要因(国土交通省意識調査結果)
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注 2011年2月に、全国の満20歳以上の男女を対象に、インターネットベースにて実施し、4,000人の回答を得た。地域、世代、性別による偏りが生じないよう、実際の人口構成比に合わせて割付を行っている。


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