第1節 地球温暖化対策の推進 

3 住宅・建築物、下水道、都市緑化等に関する対策

(1)住宅・建築物の省エネ性能の向上
 民生部門のエネルギー消費量は、他の部門に比べると過去からの増加が顕著であり、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上は喫緊の課題である。省エネ法の改正により、大規模な住宅・建築物の省エネ措置が著しく不十分である場合の担保措置の強化等を平成21年4月より図ったが、22年4月からは、それまで大規模な住宅・建築物のみを対象としていた省エネ措置の届出の義務付けを一定の中小規模の住宅・建築物まで対象を拡大した。
 また、経済産業省、国土交通省、環境省が連携し、有識者や実務者等からなる「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」を開催(第1回:22年6月3日)し、住まいのあり方や住まい方にわたる地球温暖化問題に対する広範な取組みの検討を行った。その中で新築住宅・建築物の省エネ基準への適合義務化について、義務化の対象、時期及び支援策等についての方向性(骨子案)及び工程表(案)を公表している(第2回:22年11月12日)。
 このほか、住宅の省エネルギー性能を消費者に分かりやすく表示する住宅性能表示制度や、住宅・建築物の居住性(室内環境)の向上と地球環境への負荷の低減等を総合的な環境性能として一体的に評価する建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の開発・普及を図っている。
 また、住宅の省エネ化を推進するための支援策として、住宅エコポイントや住宅金融支援機構の証券化支援事業の枠組みを活用した金利引下げ等を実施するとともに、民間事業者等の先導的な技術開発の支援、設計・施工技術者向けの講習会の開催等により、省エネ住宅・建築物の設計、施工技術等の開発・普及を図っている。
 さらに、既存ストックの省エネルギー対策を促進するため、既存住宅においては、一定の省エネ改修工事を行った場合に所得税や固定資産税を軽減する特例措置を、業務用ビル等においては、一定の省エネルギー対象設備を導入した場合に法人税の特例措置を講じている。

(2)官庁施設の環境負荷低減化の推進
 官庁施設の新築に当たっては、ライフサイクルを通じた環境負荷の低減や周辺環境の保全に配慮した整備を推進するとともに、既存施設については、設備機器等の老朽更新に併せた省エネルギー効果の高い機器等への改修や、適正な運用管理の徹底を図るなど、より一層のグリーン化を推進している。平成22年度には、環境負荷低減に配慮した熊本地方合同庁舎A棟等の新築整備を行った。また、23年3月に「官庁施設の環境保全性基準」を関係省庁の統一基準として決定し、今後の整備に適用することとしている。
 
図表II-7-1-6 環境に配慮した庁舎のイメージ図
図表II-7-1-6 環境に配慮した庁舎のイメージ図


(3)下水道における地球温暖化対策
 京都議定書目標達成計画に基づき、高効率機器の導入等の省エネ対策、下水汚泥の固形燃料化やバイオガスの有効利用等の新エネ対策、下水汚泥の高温焼却による一酸化二窒素の削減を推進している。
 なお、目標達成計画では、下水道分野において216万トンのCO2削減を目標としている。

(4)都市緑化等によるCO2の吸収源対策の推進
 都市緑化等は森林と並ぶ温室効果ガス吸収源として、京都議定書において「植生回復運動」として国際的にも位置付けられている。また、ヒートアイランド現象の緩和による熱環境改善を通じた都市の低炭素化や、その意義や効果に関する普及啓発についても京都議定書目標達成計画において位置付けられており、市町村が策定する緑の保全、創出に係る総合的な計画である「緑の基本計画」等に基づき、都市公園の整備、道路、河川、港湾、下水処理施設、住宅、官公庁施設等における緑化のほか、緑化施設整備計画認定制度等の活用により民有地の緑化を積極的に推進している。

(5)市街地整備における地球温暖化対策
1)市街地整備
 エネルギー需要密度の高い都市部は、市街地整備事業等の実施と一体的にエコまちネットワーク整備事業等を活用しつつ、エネルギーの面的利用によるCO2の削減等を推進している。

2)環境対応車を活用したまちづくり
 環境対応車(特に電動バス、電気自動車、超小型モビリティ)を活用し、環境に優しい都市交通の実現や低炭素なまちづくりを促進するため、平成22年度に国と地方公共団体が協働し、環境対応車を活用したまちづくりのための技術基準を策定するなど、取組みを推進している。


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