第3節 震災後における国土交通行政の転換 

コラム 津波の高さ〜災害に上限なし〜

 これまで日本海溝付近を震源とする地震津波の高さ(打ち上げ高)については、「1896明治三陸地震津波報告書」(中央防災会議)によれば、諸説あるが、1896年の三陸沖地震に伴う津波で38〜39m(綾里白浜)の高い記録がある。
 また、津波の高さの正確な記録はないが、1771年に石垣島、宮古島等八重山群島において発生した明和大津波(約1万人が死亡・行方不明)では、当時の記録「大波之時各村之形行書」によると、遡上高85.4m(宮良村)とある。記録の真実性は必ずしも明らかではないが、非常に高い津波であったことが推察され、今日においても、八重山群島においては、津波による珊瑚礁の大石が陸に打ち上げられ残されており、当時の津波の高さを物語っている。(資料:牧野清著「八重山の明和大津波」)
 
下地島(宮古島市)に残る津波石

下地島(宮古島市)に残る津波石

 一方、平成24年3月31日に内閣府より南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高が公表された。そこでは、東日本大震災の教訓を踏まえた津波地震や広域破壊メカニズム等、あらゆる可能性を考慮した最大クラスのものとして津波高が推計されており、防災対策を検討する基礎資料となる最大クラスの津波高が示されている。
 
予想最大津波高(市町村別)

予想最大津波高(市町村別)

 

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