第2節 観光立国の実現に向けた取組み 

3 国際観光の振興

(1)我が国観光魅力の海外への発信
 訪日外国人旅行者数を平成31年までに2,500万人、将来的に3,000万人にするとの目標を達成するため、我が国の観光魅力を海外に発信するビジット・ジャパン事業を展開している。具体的には、1)海外旅行会社の招請やツアー共同広告の実施等の現地旅行会社向け事業、2)海外広告宣伝や海外メディアの招請等の現地消費者向け事業、3)広域で連携した外国人誘客の取組みを地域と運輸局が共同で実施する地方連携事業を、韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、マレーシア、インド、ロシアの15の国・地域を重点市場として位置付けて実施した。

(2)MICE(国際会議等)の誘致・開催の推進
 MICEの誘致・開催の推進は、1)経済波及効果、2)ビジネス機会創出・イノベーション創出、3)都市の競争力・ブランド力向上といった幅広い意義を有する。これらの経済効果は極めて大きく、経済成長のエンジンであると同時にインフラと位置付けられる。
 MICEの重要性と市場の拡大を理由にアジアの競合国では積極的な誘致活動を展開しており、国際競争が激化していることから、我が国として海外プロモーション事業等、MICE誘致・開催の推進のための取組みを行った。具体的には、我が国のMICEブランドの強化を図るため、欧州、米国、アジアの各地域における見本市への出展や我が国へのインセンティブ旅行を検討している海外の旅行会社等の招請といった市場開拓を強化するとともに、日本側主催者・自治体等が行う誘致活動の支援や国土交通大臣又は観光庁長官による招請状を発出するなど、MICE開催地決定権者等への働きかけを行った。このほか、国内のMICE人材の裾野の拡大と将来の我が国のMICE界をリードする人材の育成やMICEの実態把握のための関連調査を実施し、MICEの受入環境の整備等を行った。
 なお、UIA(国際団体連合)統計によると、平成22年の我が国の国際会議件数は741件となっており、世界で第2位、アジアでは第1位となっている。

(3)訪日外国人旅行者の受入体制の確保
 訪日外国人3,000万人プログラムの達成には、海外市場でのプロモーションと並んで、国内における受入環境の整備が喫緊の課題となっている。このため、平成23年度は、訪日外国人旅行者が安心して快適に移動・滞在・観光することができる環境を提供することにより、訪日外国人旅行者の訪問を促進するとともに、満足度を高めることでリピーターの増加を図るため、戦略拠点・地方拠点として選定された全国26地域で受入環境整備水準の評価を行った。また、先進的・モデル的な事業を実施し、地域での自立的な受入環境の整備及び他地域への普及を図るとともに、日本在住の留学生等を受入環境整備サポーターとして観光地等へ派遣し、受入環境整備が遅れている部分に対して、外国人目線による改善策を提案してもらうことで、自主的な訪日外国人旅行者の受入環境整備を促進した。
 また、交通拠点から目的地(主要観光地等)までの行程において、外国人旅行者に言語面での障害を感じさせないよう、交通拠点における案内表示に加え、交通機関内での車内放送等、様々な手段を用いて、点から線への多言語対応等を実施しており、23年度は、全国26地域において言語バリアフリーな移動環境の実現を図った。他方、公共交通事業者等の取組みとしても、主に都市部の地下鉄等において、路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)の普及が進んでいるなど、訪日外国人旅行者の利便性の向上が図られている。
 外国人旅行者の需要の多様化に的確に対応するため、通訳案内士以外の者による有償ガイド行為を可能とするための特例措置を規定した「総合特別区域法」の着実な実施を図るとともに、通訳案内士の専門性を高めるための研修等、ガイドの質の向上に関する事業を行い、通訳案内士制度の充実を図った。
 他方、「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行っており、23年12月末現在、1,023軒のホテル及び1,658軒の旅館が登録されている。


注 「MICE」とは、企業等の会議(Meeting)、企業の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive(Travel))、国際会議(Convention)、展示会・見本市(Exhibition)の頭文字

 

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