第2節 観光立国の実現に向けた取組み 

4 観光旅行の促進のための環境の整備

(1)休暇の取得促進・旅行需要の平準化等に向けた取組み
 休暇の取得を促進し、旅行需要の創出及び平準化を図るため、観光庁では休暇改革を推進している。地域ぐるみの「家族の時間づくり」を目的として、企業における有給休暇取得促進と学校休業の柔軟な設定により、大人と子どもの休みのマッチングを行う「家族の時間づくりプロジェクト」について、平成23年度は全国10地域98校(22年度は9地域68校)において実施した。
 また、休暇を取得して外出や旅行等を楽しむことを積極的に促進し、休暇(オフ)を前向き(ポジティブ)にとらえて楽しむ「ポジティブ・オフ」運動を23年7月に開始した。この運動は、休暇を取得しやすい職場環境を整えつつ、休暇を活用した外出・旅行等による経済活性化にも貢献し、長期的には、ワーク・ライフ・バランスの実現や休暇を楽しむライフスタイル等の「ライフスタイル・イノベーション」へつなげていくことを目的としており、内閣府、厚生労働省、経済産業省と共同して提唱・推進している。
 なお、大型連休を地域別に分散して設定する「休暇取得の分散化」については、東日本大震災後の国民生活・経済活動等への影響及び国民的コンセンサスの状況を踏まえ、引き続き検討することとしている。

(2)旅行取引を取り巻く環境の変化への対応
 旅行取引の公正の維持や旅行者の安全の確保を図るため、「旅行業法」における消費者保護について、標準旅行業約款の見直しの検討等、観光庁と消費者庁が連携して取り組んでいる。

(3)日本人の海外旅行促進のための取組み
 Visit World Campaign(ビジット・ワールド・キャンペーン)への協力等を通じて海外旅行需要の喚起を図っている。また、海外旅行者の安全を確保するため、観光庁は、外務省等と緊密な連絡をとりつつ、海外旅行者に対する渡航情報の周知徹底や、旅行業者の緊急連絡体制の整備を図っている。

(4)ニューツーリズムの推進
 エコツーリズム、グリーン・ツーリズム、文化観光、産業観光、スポーツツーリズム、海洋観光、医療観光等、地域の特性を活かしつつ、多様化する旅行者のニーズに即した観光を提供するニューツーリズムの推進を図っている。スポーツツーリズムについては、平成23年度に策定された「スポーツツーリズム推進基本方針」に基づき、地域スポーツコミッションの設立を促すとともに、情報の集約・発信、国際スポーツイベントの誘致・開催支援等を担うスポーツツーリズム推進連携組織の創設に向けた検討を実施した。

(5)観光統計の整備・利活用の推進
 観光政策の戦略的立案及び成果検証に活用するため、各種観光統計の整備や利活用の推進等を行っている。
 観光産業の基本的構造(事業者数、売上規模、雇用・就労状況等)や、観光が地域経済に及ぼす影響等を明らかにするための「観光地域経済調査」について、平成22年度に試験調査、23年度に予備的調査を実施した。24年度からは、経済センサスと連動し、全国約16万事業所を対象として調査を本格実施する。15年度から実施している「旅行・観光消費動向調査」について、調査対象者数等の拡充に伴い、四半期毎の集計・公表を行うとともに、旅行者の年代別等の追加分析を併せて実施した。その他の観光統計についても、公表の早期化や分析方法の積極的な紹介等に取り組むなど、行政や産業界が施策を立案するに際し、タイムリーに活用できるようなデータ提供を行い、利活用を推進している。
 また、22年度より実施している「観光入込客統計に関する共通基準」に基づく「都道府県観光入込客統計」について、導入済みの45都道府県の調査結果を取りまとめるとともに、調査結果の活用事例を都道府県と共有し、本統計を観光政策立案に活用するためのノウハウを提供した。


注 (一社)日本旅行業協会(JATA)が中心となり、旅行業界、航空業界、関係省庁等が一丸となって取り組んでいる海外旅行の需要喚起を図る活動

 

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