第5節 効率的・重点的な施策展開

3 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」を踏まえ、国土交通省では、公共工事の更なる品質確保を図るため、原則すべての工事において総合評価落札方式注1を実施するとともに、建設コンサルタント業務等における総合評価落札方式を本格導入している。品質確保への支障、下請へのしわ寄せ等が懸念されるダンピング受注に対しては、施工体制確認型総合評価落札方式や特別重点調査の実施等の対策を行っている。さらに、工事目的物の品質確保を目的として設計者から施工者への設計思想の伝達等による受発注者間の情報共有の推進や、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」を試行している。
 また、入札契約制度の一層の改善を図るため、平成23年8月に「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の一部変更を閣議決定し、地域維持事業(災害対応、除雪、インフラの維持管理事業)の担い手確保に資するための新たな契約方式として「地域維持型契約方式」を導入するとともに、国、地方公共団体等において、設計・施工一括発注方式やCM方式注2等の多様な発注方式の活用を推進している。
 23年度においては、国土交通省の約95.6%の工事で一般競争入札、約99.1%の工事で総合評価落札方式を実施しており(いずれも金額ベース)、24年度以降においても引き続き、価格と品質が総合的に優れた調達を行っている。なお、総合評価落札方式については、技術提案作成・審査に係る競争参加者、発注者双方の事務手続の負担増大等が課題となっていることから、施工能力を評価するタイプと技術提案を評価するタイプに二極化して簡素化を図るなどの改善案について、本格運用に向けた試行を進めてきたところである。また、地方公共団体等に対して、低入札価格調査基準価格等の適切な見直し等によるダンピング対策の強化、予定価格の事前公表の見直し等について要請を行い、入札契約の適正化を推進している。


注1 価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
注2 コンストラクション・マネジメント方式。コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式


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