第1節 地球温暖化対策の推進

コラム 港湾における再生可能エネルギーの円滑な導入の推進に向けた取組み〜導入手順などを提示したマニュアル〜

 東日本大震災を契機に、国内の再生可能エネルギー発電の普及の必要性が高まっている。代表的な再生可能エネルギーの1つである風力発電は、従来事業が行われていた山岳地帯などに加え、安定して強い風が吹き、大規模な展開が可能な空間が拡がる海域が、新たな事業適地として注目されている。その中でも港湾は、これまでの産業の集積により、道路や送電線といった風力発電事業に必要なインフラが既に整備されている場合が多いことや、海上輸送された大型機材の荷揚げ機器の確保や組み立てに必要な作業ヤードが確保できることなど、実際の事業を展開する上で必要な環境が整っていること、また、港湾管理者という海域を管理する公的主体が明確になっていることなどから、着床式洋上風力発電設備(平成24年末現在、設置数14基)の、今後の重要な展開場所として期待が集まってきている。
 しかし、港湾は本来、物流や人流の結節点としての機能を有しており、風力発電の導入においては、この港湾が持つ本来の機能と共生して行う必要がある。そこで国土交通省では、環境省と連携し、共生に必要な具体的課題について検討を行い、港湾へ風力発電を円滑に導入するための手順などを示したマニュアル(「港湾における風力発電について −港湾の管理運営との共生のためのマニュアル−」。以下、「マニュアル」という。)を24年6月に公表したところである。
 マニュアルでは、風力発電の導入における関係団体が一堂に会する協議会の設置や、港湾の本来の機能と風力発電設備の立地が共生できる適地の設定、また適地内での風力発電事業の公募など、その導入を円滑にするための手順などを提案しており、実際に茨城県鹿島港、山形県酒田港等において、マニュアルに基づいた計画が進められている。

 
北海道瀬棚港に立地する洋上風力発電設備(600kW×2基)
北海道瀬棚港に立地する洋上風力発電設備(600kW×2基)

 
港湾の本来の機能と風力発電設備の立地とが共生できる区域イメージ
港湾の本来の機能と風力発電設備の立地とが共生できる区域イメージ


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む