第3節 多国間・二国間交渉・連携等を通じた取組み

2 国際機関への対応

(1)アジア太平洋経済協力(APEC)への対応

 国土交通省では、APECの交通・観光分野に係る大臣会合及び作業部会を中心に積極的に取り組んでいる。平成24年7月には第7回観光大臣会合がロシアで開催され、東日本大震災での各加盟国・地域からの支援に対する感謝を伝えるとともに、震災から得た教訓を共有した。24年8月には交通大臣特別会合がロシアで開催され、我が国はサプライチェーンの改善における交通大臣の役割及びAPEC加盟国・地域との協力について発表した。それぞれの大臣会合において採択された大臣宣言が同年9月に開催された首脳会議における首脳宣言に盛り込まれた。特に観光分野については、経済発展における観光の重要性や旅行円滑化等が盛り込まれた。また、25年9月には、第8回交通大臣会合が東京で開催される予定である。

(2)経済協力開発機構(OECD)への対応

 国土交通省では、OECDの下部組織のうち、造船部会、地域開発政策委員会(TDPC)、OECD及び国際交通フォーラム(ITF)が共同で設置している共同交通研究センター(JTRC)に参画している。
 OECD造船部会では、健全な造船市場の構築、公正な競争条件の整備及び新興造船国との対話強化に取り組んでいる。TDPCでは、国土・地域政策等に関する各加盟国の政策レビュー、グリーン成長戦略における都市などの政策の検討や、コンパクトシティ政策、被災地の力強い回復等の調査等に積極的に取り組んでいる。JTRCでは、道路の運用、維持管理、整備のための財源の最適化、異常気象や気候変動に対するインフラの適合等の研究ワーキングへ参画し、加盟国に共通した政策課題について調査研究を行っている。

(3)国際海事機関(IMO)、国際労働機関(ILO)への対応

 我が国は世界有数の海運・造船国として、IMOの活動に積極的に参加し、主導的な役割を果たしている。平成24年1月にはIMO事務局長に日本人が初めて就任した。IMOの組織・予算改革をはじめ、船舶からの温室効果ガス削減対策、ソマリア沖海賊対策、旅客船の安全の確保等の重要課題への取組みが進められており、我が国もこうした課題に積極的に貢献している。
 また、ILOについては、18年に採択された船員の労働環境の向上及び国際海上輸送における公正な競争条件の確立を図る「海上労働条約」に関し、国内関係者間において本条約に対応した国内制度の策定に関する検討・調整を実施するなど、本条約の締結に向けた取組みを進めている。

(4)国際民間航空機関(ICAO)への対応

 ICAOは、国際民間航空の安全かつ整然とした発達及び国際航空運送業務の健全かつ経済的な運営に向け、一定のルール等を定めている。我が国は加盟国中第2位の分担金を負担し、また、第1カテゴリー(航空輸送において最も重要な国)の理事国として、ICAOの諸活動に積極的に参加し、国際民間航空の発展に寄与している。


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む