第3節 復興まちづくりの推進・居住の安定の確保

コラム 「新しい東北」の創造に向けた取組み

 東北地方は、震災前から、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、現在の地域が抱える課題が顕著にありました。このため、単に従前の状態に復旧するのではなく、震災復興を契機として、これらの課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造すべく、取組みを進めています。
 まず、幅広い担い手(企業、大学、NPO等)による先駆的な取組みを加速するための「新しい東北」先導モデル事業等を実施しています。例えば、まちづくりの分野において、平成25年度には岩手県陸前高田市で、「身近な楽しさを、家族や仲間と分かち合う暮らし」をコンセプトとして、住民自身の声を反映しつつ、住宅街を設計する取組みが行われています。この中では、住民のワークショップを開催し、自分たちが集まりやすい集会所、集まりたくなる集会所をデザインする、といったことが試みられています。
 また、各地で建設が進められている災害公営住宅の中には、将来を見据えて地域の課題を解決する「工夫」や、地域や街の魅力を引き出す「こだわり」を持ったものが数多く見られます。例えば、岩手県大槌町で整備された団地では、歩行者と居住者の日常的な交流を生み出すために、各住戸に縁側を設置するとともに、団地の入口には地域全体の交流の場となる集会所と広場が配置されるなどの工夫がなされています。
 このように、被災地では「ハード」と「ソフト」の両面から、コミュニティの形成や、活発で住み心地のよい暮らしを目指す取組みが芽生え始めており、被災地のみならず、同様の課題を抱える日本全国の地域への展開が期待されます。
 
岩手県大槌町大ケ口地区災害公営住宅
岩手県大槌町大ケ口地区災害公営住宅



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