コラム 東京都大島町における大規模土砂災害の対応〜TEC-FORCEによる支援活動・土砂災害対策の強化について〜
台風第26号は平成25年10月16日に伊豆大島で24時間降水量824mmの観測史上最大の豪雨をもたらしました。
この豪雨により、東京都大島町元町地区に流れ込む大金沢上流で広範囲にわたり表層崩壊が発生し、大量の土砂と流木が流域界を超えて元町神立地区を始めとする住宅地に流れ込んだため、死者・行方不明者39名、全半壊家屋111戸にのぼる甚大な被害が発生しました。
国土交通省においては、甚大な災害が発生した東京都大島町へ、迅速に土砂災害の専門家及びリエゾン(現地情報連絡員)を派遣し、被害情報の収集、町からの必要な支援内容の把握に全力を挙げるとともに、関東・中部・近畿地方整備局に配備する防災ヘリコプターにより、上空から大規模な土砂災害を確認し、関東・北陸・中部・九州地方整備局からTEC-FORCEを日最大84名、延べ約1,300人・日を現地に派遣しました。
収集した被害情報をもとに、10月16日夕方に自衛隊輸送機にて、本省・関東地方整備局のTEC-FORCE第1陣を派遣、翌17日より現地被害状況調査を開始、翌18日には北陸・中部・九州地方整備局のTEC-FORCEが合流し、現地活動を実施しました。
現地での活動は、更なる降雨による二次被害防止のため、早急に人命等に影響を及ぼす恐れのある土砂災害危険箇所等の緊急点検を実施し、その結果をもとに東京都や大島町のほか、行方不明者の捜索活動にあたっていた自衛隊や警察、消防へ逐次助言・情報提供を行いました。
特に、台風第27号通過後における住民への避難指示解除へ向けた土石流危険箇所の緊急点検においては、降雨直後の土石流危険渓流を徒歩で点検するという極めて過酷な現場条件のなかでの活動となりました。この結果、降雨前の状況から大きな変化がなかったため、この点検結果を町及び捜索活動を実施する関係機関へ報告し、避難指示の解除や捜索活動再開の判断材料として活用されました。
また、捜索活動にあたっては、国土交通省が保有する照明車により夜間作業への支援を実施しました。
さらに、土石流危険箇所をモニタリングする監視カメラを5箇所に設置し、土石流監視体制を構築・整備を行い、映像を衛星通信により本省はもとより、東京都、大島町、内閣府へ配信を行ったほか、東京都に対してワイヤーセンサーによる泥流監視体制の構築へ向けた技術支援を実施しました。
国土交通省では、今回の災害や24年7月九州北部豪雨等の土砂災害によって、土砂災害の危険性が高いと想定されていなかった場所でも多数の犠牲者が出ていることを踏まえ、学識経験者による「土砂災害対策の強化に向けた検討会」を開催し、土砂災害に対するハード、ソフト対策について総合的な検討を進めています。