◯2 災害に強い交通体系の確保
(1)多重性・代替性の確保等
鉄道、港湾、空港等の施設の耐災化や救援・復旧活動に資する緊急輸送体制の確立を図ることにより、多重性、代替性等を確保し、災害発生時の全国的な輸送活動への影響の最少化及び利用者の安全確保に努めている。
道路ネットワークは、災害時には緊急輸送道路としていち早く救援が可能となるなど、「命の道」として機能するようしっかりつないでいく。
(2)道路防災対策
豪雨・地震・津波・豪雪等の災害に対して、安全で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため、防災対策(斜面・盛土対策等)、震災対策(耐震補強等)及び雪寒対策(防雪施設の整備等)を進めるとともに、道路施設への防災機能強化(道の駅及びSA・PAの防災機能の付加、避難路・避難階段の整備)を進めるとともに、平成25年6月の道路法等の改正に基づく、速やかな道路啓開の実施のための民間企業等との災害協定の締結や、道路管理者間の協議会による啓開体制の構築を進めることとしている。また、特に大規模災害時には、官民が保有する車両の通行実績等(ビッグデータ)を活用し、災害発生状況を迅速かつ的確に把握する取り組みを推進し、災害情報の提供に関する仕組みについて検討している。
さらに、東日本大震災による津波により壊滅的な被害を受けた地域等において、復興計画に位置付けられた市街地整備に伴う道路整備や、高速道路ICへのアクセス道路等の整備を推進している。また、津波被害を軽減するための対策の一つとして、標識柱等へ海抜表示シートを設置し、道路利用者に海抜情報の提供を推進している。
(3)各交通機関等における防災対策
鉄道については、旅客会社等が行う落石・雪崩対策や海岸保全等の防災事業、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行う青函トンネルの機能保全のための変電所施設、列車制御施設等の改修事業に対し、その費用の一部を助成し、災害に強い、安全かつ安定的な鉄道輸送の確保を図っている。
港湾については、災害時にも地域の最低限の経済活動を維持するため、また被災した施設の早期復旧を図るため、港湾広域防災協議会等を設置し、国・港湾管理者・港湾利用者等が協働して、港湾の広域的な連携を通じた港湾機能の継続及び災害時の早期復旧のための協力体制の構築を推進している。
空港については、地震等被災時に救急・救命活動や緊急輸送の拠点となるとともに、航空ネットワークの維持、背後圏経済活動の継続性確保において重要と考えられる航空輸送上重要な空港等において、必要な管制機能を確保するための庁舎等及び最低限必要となる基本施設等の耐震化等を実施している。また、南海トラフ巨大地震等による大規模な津波災害に備え、津波被災の可能性のある空港で、人命保護のため津波発生時の空港利用者等の避難方法等を定めた津波避難計画を策定し、計画に基づく津波避難訓練等の取組みを引き続き実施していく。また、津波被災後に空港機能を早期に復旧するための計画を策定し、計画に基づく関係機関との協力体制構築等の取組みを推進していく。
(4)災害に強い物流システムの構築
東日本大震災では、円滑な支援物資物流を確保する観点から、民間物流事業者のノウハウや施設の活用の重要性が認識されたところである。この教訓を踏まえて、国、地方公共団体、物流事業者等で連携して災害に強い物流システムの構築に向けた検討を実施し、発災時に物資拠点として活用可能な民間物流施設のリストアップ(全国で1169箇所)(平成26年3月14日時点)や当該施設への非常用電源設備、非常用通信設備の導入支援等、官民の連携・協力体制の構築を全国的に推進しているところである。