コラム 代替航空燃料(バイオジェット燃料)の普及促進
ジェット機からのCO2排出削減対策として、代替航空燃料(バイオジェット燃料)への期待が世界的に高まっています。代替航空燃料は、藻類、ナンヨウアブラギリやアブラナなどの植物、使用済み食用油、都市ゴミなどを原料として作られ、化石燃料に比べ、原料生育過程を含むライフサイクル全体でみたCO2排出削減につながる可能性があります。
国際民間航空機関(ICAO)では、平成22年の総会で、国際航空分野におけるCO2排出の削減目標が決議され、25年の総会では、その目標の達成のための大きな柱の一つとして持続可能な代替航空燃料の活用を進めていくことが合意されました。
我が国では、21年から24年にかけて、代替航空燃料のテストフライトを実施し、フライト自体の技術的な実証は済んでおり、現在、代替航空燃料の普及に向けた取組みの検討段階に入っています。海外では、既に定期便などの有償飛行に代替航空燃料を使用した例もあり、今後、我が国では、こうした事例も参考に検討を進めていくこととしています。
我が国における代替航空燃料の普及促進に向けては、いくつかの課題が挙げられます。まず、現状では、代替航空燃料の価格は、非常に高価格です。また、当面は輸入により供給量を確保していくことが必要です。さらに、例えば、輸送方法の確保や経年による既存施設への影響等についても検討する必要があります。
これらの点に関しては、今後、多様な連携を図りつつ、課題解決に向けた取組みを関係者間で進めていきます。
また、国際的な取組みとして、代替燃料によるCO2排出削減効果に関する世界共通の算定・評価基準の確立や、他業種の動向も踏まえた航空分野への代替燃料の世界的供給見通しに関する検討も必要です。これらの課題については、今後ICAOの専門家グループで検討されることとなっており、我が国もこうした検討に積極的に参加していくこととしています。