第1節 地球温暖化対策の推進

◯3 再生可能エネルギー等の利活用の推進

 東日本大震災以後のエネルギー制約を踏まえ、今後、再生可能エネルギーの利活用が政府において重要課題となっている中、国土交通省は、特に、空港施設等の広大なインフラ空間、河川流水、安定かつ豊富な下水道バイオマス等といった再生可能エネルギーのポテンシャルを活用した導入を推進している。

(1)海洋再生可能エネルギー利用の推進
 四方を海に囲まれた我が国は、豊富な海洋再生可能エネルギーに恵まれている。
 そのうち、陸上に比べて広大で、かつ安定的に強い風が吹く洋上での風力発電は、今後の普及拡大が見込まれており、とりわけ港湾への注目が高まっている。
 そこで港湾局においては、まず港湾への導入手順を整理することとし、「港湾における風力発電について―港湾の管理運営との共生のためのマニュアル―」を平成24年6月に公表した。
 引き続き今年度より、港湾への導入に際して港湾本来の機能が確保されることを港湾管理者が確認するための判断指針となる、技術ガイドラインの検討を進めている。
 また、遠浅の海域が少ない我が国において、洋上に浮かぶ浮体式洋上風力発電も有望視されており、洋上という厳しい自然環境条件で安全に稼働させるための具体的な指針を示した「安全ガイドライン」を取りまとめた。
 さらに、今後、波力、潮流等の海洋エネルギーについても、浮体式等発電施設の安全面等を担保する制度を整備することとしており、関係省庁と連携して海洋再生可能エネルギーの普及拡大を図っていく。

(2)小水力発電の推進
 河川等における低炭素社会に向けた取組みとして、小水力発電の導入を推進している。具体的には、小水力発電の普及促進のため、河川法改正による従属発電の登録制導入や、地方整備局等の窓口において水利使用申請手続の相談・調査データ提供等によるプロジェクト形成支援、砂防堰堤における小水力発電設備の導入支援を行っているほか、直轄管理ダム等においてダム管理用発電設備の積極的な導入による未利用エネルギーの徹底的な活用を図っている。

(3)下水道バイオマス等の利用の推進
 固形燃料化やバイオガスの有効利用等による下水汚泥のエネルギー利用、未利用エネルギーである下水熱の利用について、PPP/PFI等によりを推進している。

(4)インフラ空間を活用した太陽光発電の推進
 東日本大震災を契機とするエネルギー需給の変化を踏まえ、下水処理場、港湾・空港施設における広大なスペースの有効活用に加え、官庁施設、鉄道施設等の公共インフラ空間における公的主体による太陽光発電設備の設置や導入のほか、道路・都市公園においては、民間事業者等が設置できるよう措置している。

(5)水素社会実現に向けた貢献の推進
 家庭用燃料電池(平成21年市場投入)や燃料電池自動車(27年市場投入予定)など、今後の水素エネルギー需要の拡大が見込まれる中、水素の製造、貯蔵・輸送、利用という観点から、水素エネルギー利活用社会の実現に向けた環境を整備する。

1)燃料電池自動車に係る基準の整備等
 平成27年から市場導入が予定されている燃料電池自動車の世界最速普及を目指すべく、燃料電池自動車の安全基準の整備を行った。

2)液化水素の海上輸送システムの確立
 液化水素の大量輸送を可能とする液化水素運搬船の早期建造が期待されるが、当該船舶は世界初であるため安全基準が存在せず、早急に安全要件を定める必要がある。そのため、平成25年度より、−253℃の超低温、水素分子の材料への浸透・透過、広い爆発範囲、高い着火性等の水素の特徴に対応した船舶の安全基準の検討に取り組んでいる。


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