第2節 経済動向とインフラ整備

コラム 歌川広重の描いた江戸時代の生活とインフラ

 江戸時代には写真機が普及しておらず、当時の風景を計り知ることはできません。しかし、江戸後期の日本の風景を現代に伝えた「歌川広重(1797−1858年)」(広重)が描いた日本各地の浮世絵の風景は誰もが知るところだと思います(図表1-2-7)。
 
図表1-2-7 歌川広重
図表1-2-7 歌川広重

 江戸時代後期、江戸庶民の間では旅行が流行しており、「東海道五十三次」等の宿場町や観光名所等を描いた「名所絵」の浮世絵が旅行のお土産として流行しました。広重は主に海、山、川、池等を背景に江戸の人々の生活風景を躍動的に描き、フランス印象派のゴッホ等の画家は広重の浮世絵に多大な影響を受け、海外では「広重ブルー」なる言葉も生まれるなど、藍色を基調とした美しい風景が描かれています。
 多くの自然とともに、当時整備された道、橋、河川、港等のインフラが随所に描かれており、古くからインフラが大規模に整備され、江戸の人々の生活や経済活動に密接なものとなっていたと推測されます(図表1-2-8)。
 
図表1-2-8 歌川広重「東海道五十三次」に描かれた様々なインフラ
図表1-2-8 歌川広重「東海道五十三次」に描かれた様々なインフラ


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