第2節 自然災害対策

コラム 建設発生土を活用したゼロメートル地帯の高台整備を開始

 東京の江東デルタ地帯には、ゼロメートル地帯が大きく拡がり、水面より低い土地に暮らしています。昭和28年のカスリーン台風では、総武線新小岩駅前も軒下まで浸水し(写真1)、数週間水が引かず、3週間は屋根の上で生活したと、当時被害に遭われた方は当時のことをおっしゃっています。当時と比べ土地利用が高度化し、250万人も人々が生活している今、大規模浸水時には、多くの人々が逃げ遅れ、甚大な被害が発生すると予想されています。
 このようなゼロメートル地帯に暮らす人々にとって、高台整備は悲願です。一方で、首都圏では建設発生土を処分する場所が不足しており、事業を実施する者からすれば、喫緊の課題とも言えます。
 このため、行政が管理する公園等の土地を一時的に提供し、建設発生土を出す事業者が、発生土で盛土、原形復旧を行う制度を創設しました。
 行政側は、費用負担なく避難場所となる高台が整備され、建設発生土側は、発生土の処分ができるという、WIn-Winの関係の事業です。
 この第一号事業として、葛飾区が管理する新小岩公園を高台化することとなりました(写真2)。公募の結果、高台整備を行う共同事業者は平成28年7月に決定する予定です。決定後、来春以降の現地着工に向け現在、区と形式共同事業者との間で協議が行われます。
 この第一号事業が契機となり、建設発生土を有効活用した防災高台の実施箇所が増え、ゼロメートル地帯の安全性が高まっていくことが期待されています。
 
写真1 カスリーン台風で軒下まで浸水した葛飾区の様子
写真1 カスリーン台風で軒下まで浸水した葛飾区の様子

 
写真2 葛飾区新小岩公園の高台化
写真2 葛飾区新小岩公園の高台化


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