第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進

■6 ICTの利活用による高度な水管理・水防災

 近年情報技術が伸展する中、新たな技術を現場にあてはめることにより水管理・水防災の高度化を進めている。
 河川・流域の監視のため、雨量観測においては、高分解能・高頻度に集中豪雨や局地的な大雨を的確に把握できるXRAIN(国土交通省高性能レーダ雨量計ネットワーク)の整備を行っているほか、流量・水位観測においては、aDcp(超音波のドップラー効果を応用した流速計)やCCTV等の映像を活用した画像解析といった新たな技術の導入・実用化を進めている。また災害時の浸水範囲の把握にあたっては、平成27年9月関東・東北豪雨においてSAR衛星(だいち2号)による緊急観測(図表II-10-1-3)を実施したほか、SNSへの投稿や様々な位置情報等のビッグデータの活用を検討している。
 
図表II-10-1-3 高度な水管理・水防災のためのICTの利活用例
図表II-10-1-3 高度な水管理・水防災のためのICTの利活用例

 また、河川管理及び災害対応の高度化を目指し、グリーンレーザーを搭載した水面下も測量可能なドローンや、無給電で長期間メンテナンス不用な小型の水位計等の実装化を図る取組みを進めている。
 また、豪雨等により発生する土砂災害に対しては、平常時より広域的な降雨状況を高精度に把握するレーダ雨量計、火山監視カメラ、地すべり監視システム等で異常の有無を監視している。また、大規模な斜面崩壊の発生に対し、迅速な応急復旧対策や的確な警戒避難による被害の防止・軽減のため、発生位置・規模等を早期に検知する取組みを進めている。
 下水道分野においては、局地的な大雨等に対して浸水被害の軽減を図るため、センサー、レーダー等に基づく管路内水位、雨量、浸水等の観測情報の活用により、既存施設の能力を最大限活用した効率的な運用、地域住民の自助・共助の促進を支援する技術について実証を進めている。


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