第2節 技術の進歩

■2 超スマート社会(Society 5.0)につながる新技術の進歩

(1)IoT(Internet of Things)及びビッグデータの拡大
(平成に進んだIoT及びビッグデータ)
 平成を通じて、ICTが発展し、コンピューターやスマートフォン同士をインターネットで接続することによって、人と人とのコミュニケーションの方法を変えるなどの大きな変化が生まれた。さらに、近年は、これまでインターネットにつながっていなかった、車や家電等日常生活のあらゆるものがインターネットにつながり、相互に情報交換し制御するIoTが進展してきている。インターネットにつながる機器の数は、2003年(平成15年)には5億台であったが2015年には250億台となり、2020年には500億台にまで増加すると予想されている(図表I-1-2-24)。
 
図表I-1-2-24 インターネットに接続する機器の数と1人当たりのデバイス数
図表I-1-2-24 インターネットに接続する機器の数と1人当たりのデバイス数

 また、これまでのICTの進展により、コミュニケーションの発信履歴、個人の情報など、既に大きなビッグデータが生まれている。今後、IoTの進展により、個々の機器によって得たものをはじめ、さらなる情報が集まり、ビッグデータがますます膨大なものとなっていくことが予想される。

(IoT及びビッグデータがもたらした社会への波及効果)
 IoTの発展により、これまでにない様々なサービスが創出されてきている。例えば、家電や設備機器をインターネットで接続し、電力使用量の最適な制御などを行う「スマートハウス」が登場している。(図表I-1-2-25)。また、ビックデータに関しては、個人が多量のデータを集め、選択できるとともに、その人にあった情報が選択されて提供されるといった環境が生まれている。例えば、インターネットによる検索、電子商取引、登録会員の購入履歴による顧客特性等に応じた広告の配信などが挙げられる。
 
図表I-1-2-25 スマートハウスのイメージ
図表I-1-2-25 スマートハウスのイメージ

(2)人工知能(AI)の進歩
(平成に進んだ人工知能(AI)技術)
 1950年代に研究が開始されたAIは、特に2010年以降はAIが自らインターネット上にあふれた膨大な情報を学習・推論する「ディープラーニング」が可能となった。この技術により、将棋や囲碁などをはじめ、複雑に思考し判断するレベルまで発展した(図表I-1-2-26)。さらに、2011年には音声認識の分野で、2012年には画像認識の分野で、それぞれ認識率に劇的な改善が見られ、AIの導入は進んだ。
 
図表I-1-2-26 アルファ碁の対戦風景
図表I-1-2-26 アルファ碁の対戦風景

(AIがもたらした社会への波及効果)
 平成を通じて、パソコンやスマートフォン、インターネットが普及したことにも伴い、AIは、様々な分野において活用され、日常生活にも取り込まれてきている。
 例えば、スマートフォンのカメラは、AIの画像認識の能力向上に伴い、人間の顔を認識し焦点(フォーカス)を当てること、持ち主の顔を認証することによりロックを解除することなどが可能となっている。また、AIの音声認識の能力向上に伴い、音声によりインターネット検索などを行うこともできるようになっている。さらに、AIが搭載された掃除ロボット等一般家庭用の普及も進むととともに、産業用ロボットの導入についても広がりを見せている。
 なお、職場へのAIの導入状況について、日米比較をしたところ、日本で職場にAIが導入されていると回答した人は5.0%であるのに対して、米国では13.6%であり、日本ではAIが広く導入されているという環境までには至っていない(図表I-1-2-27)。
 
図表I-1-2-27 職場へのAIの導入の有無及び計画状況
図表I-1-2-27 職場へのAIの導入の有無及び計画状況
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注17 DeepMindはAlphabet Inc.の子会社


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