コラム 芸術祭による賑わいの創出〜「アートの力」を活用した地域活性化〜
2000年代以降、芸術祭を開催し、「アートの力」を活用することで、地域を活性化していこうとする取組みが増えてきています。
その火付け役となったのは、2000年に始まった新潟県十日町市の「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」という、現代アートの芸術祭です。越後妻有という場所は、過疎化が進む中山間地域ですが、その自然を活かし、アートを野外展示したこと、芸術祭をきっかけにレストランができ、地元料理が振る舞われるようになったことなどにより、たくさんの人々を惹きつけています。住民が作品の製作を手伝うこともあり、地元も全面的に協力しています。来訪者は、回を重ねるごとに増え、2018年の第7回には51万人もの人が訪れています(図表I-3-2-4)。
図表I-3-2-4 住民が作品製作に協力している様子(大地の芸術祭)(左) 岡山芸術交流2019ロゴ(右)
近年、このような里山や島などの人口減少地域において開催される芸術祭が増えています。「瀬戸内国際芸術祭」は、直島を中心としつつ、近郊の島々で行われており、その文化や歴史を反映したアートの展示がなされています。2016年の第3回では100万人以上もの人が訪れています。
都市部においても、PRや経済効果などを求めて芸術祭が開催されています。岡山県岡山市では、2016年に初めて、国際現代アート展「岡山芸術交流2016」を開催しました。そのコンセプトは、岡山城など有名な観光名所だけではなく、廃校になった学校跡地なども展示会場として用い、市内を街歩きしながら現代アートの鑑賞を楽しむというものでした。結果として、23万人超の人が参加し、県内に20億円以上の経済波及効果をもたらすなど、大きなインパクトがありました。2019年9月から11月にかけて、第2回目となる「岡山芸術交流2019」が開かれる予定です(図表I-3-2-4)。
このように、様々な芸術祭が地方部、都市部を問わず、地域活性化の取組みとして広がっており、今後、ますます、「アートの力」への期待が高まっていくものと思われます。