第II部 国土交通行政の動向 

3 高齢社会への対応

(1)高齢者が安心して暮らせる生活環境の整備
1)高齢者の居住の安定の確保
 高齢化が急速に進展する中、高齢者の居住の安定の確保を図るために、民間活力や既存ストックを有効に活用しつつ、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者が住み良い環境の整備を進めている。高齢者向け優良賃貸住宅は、平成19年3月末で26,466戸が管理されており、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅については、同年3月末で101,726戸(うち高齢者専用賃貸住宅は9,986戸)が登録されている。
2)福祉施策との連携
 高齢者が安心して暮らせる居住環境を確保するため、福祉施策と連携し、バリアフリー化された公営住宅等の供給とともに、ライフサポートアドバイザーによる日常の生活相談、安否確認、緊急時における連絡等の生活支援サービスの提供を併せて行うシルバーハウジング・プロジェクトを、平成18年度までに821団地(21,994戸)において実施している。
 また、グループホーム(注1)等、福祉、介護等と連携した新たな住まい方に対し、公的賃貸住宅を活用した支援を行っている。

(2)高齢社会に対応した輸送サービスの提供
 高齢者や障害者等の移動制約者の病院・施設への通院等のニーズに対応するため、福祉タクシー(注2)の導入の促進を図っており、平成18年度末現在11,322両が運行されている。18年度に福祉輸送普及促進モデル事業を創設し、要介護者や身体障害者等の移動制約者のニーズに的確に対応するため、一定の地域において、共同配車センターの設置や計画的な福祉車両の導入等の取組みが行われる場合に、地方公共団体と協調して支援を行うこととしている。
 また、18年10月には改正「道路運送法」が施行され、地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するため、バス事業者やタクシー事業者によることが困難であり、地域の関係者が自家用有償旅客運送の必要性について合意した場合に、NPO等による福祉有償運送や過疎地有償運送を可能とする登録制度が創設された。18年度末現在、2,310団体において実施されている。


(注1)高齢者、障害者等が自立して地域社会で生活するための共同住居
(注2)車いすや寝台(ストレッチャー)のまま乗降できるリフト等を備えた専用のタクシー車両や、訪問介護員等の資格を有する者が乗務するタクシー車両

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む