第II部 国土交通行政の動向 

2 良好な宅地の供給及び活用

(1)地価の動向
 平成19年1月1日時点の地価公示によると、18年1月以降の1年間の地価動向は、三大都市圏においては上昇し、地方圏においては下落幅は縮小したものの引き続き下落となった。その結果、全国平均で見ると、住宅地(+0.1%)、商業地(+2.3%)ともに16年ぶりにわずかな上昇となった。
 三大都市圏及び地方ブロック中心都市の一部に上昇傾向がみられたほか、地方中心都市等においても、都市再生・地域再生の取組み、市街地整備や交通基盤整備等による利便性・収益性の向上を反映して、上昇地点が現れ、又は増加した地域もあったが、その他の地方圏においては、おおむね下落幅は縮小しているものの依然として下落が続いた。

(2)宅地供給の現状と課題
 人口・世帯減少社会の到来を目前に控え、新規宅地の大量供給を積極的に支援する従来の施策から、必要な地域に良好な居住環境を備えた宅地供給が図られるよう施策の見直を行っている。
 このため、都市再生機構のニュータウン事業については、既に着手済みの事業のみを行い、新規事業は行わないこととしている。
 また、宅地供給に関連して必要な道路等の整備を行う住宅市街地基盤整備事業については、住環境の改善や街なか居住等に資するものに重点を置き実施している。さらに、税制の特例や農住組合制度(注)等により、農地を活用した良好な居住環境を備えた宅地の供給を促進している。

(3)定期借地権の活用
 借地契約の更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地契約が終了する定期借地権は、良好な住宅取得を低廉な負担で実現する上で有効な制度であり、定期借地権付住宅は、ここ数年は供給戸数が減少傾向にあるものの、平成18年末までに58,000戸以上が供給されている。
 なお、同制度の円滑な普及に向けた条件整備として、保証金、権利金に次ぐ第3の一時金方式である前払賃料方式の税務上の取扱いの明確化等を行っている。
 
図表II-4-2-6 定期借地権付住宅供給の推移

図表II-4-2-6 定期借地権付住宅供給の推移
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(4)ニュータウンの再生
 計画開発住宅市街地、いわゆるニュータウンにおける住宅や施設の老朽化、居住者の高齢化や小世帯化に伴うニーズとの乖離による機能更新等の課題に対応し、計画開発住宅市街地を良好なストックとして引き続き活用するため、平成19年度には住宅市街地総合整備事業の面積要件を一定のニュータウンについて緩和し、機動的な事業の実施を可能とするなど支援制度を拡充している。


(注)市街化区域農地の所有者が、当面営農の継続を図りながら、その農地を円滑に住宅地等に転換するために設けられる。

 

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