第II部 国土交通行政の動向 

2 効率的な物流システムの構築のための施策

(1)物流における情報化の推進
 物流分野では、取引の効率化、渋滞の回避、物流に関係する行政手続の最適化等、多様な側面においてICTの導入を的確に推進することが重要である。
 例えば、輸出入及び港湾関連の行政手続については、シングルウィンドウシステムの改修、その業務・システムの最適化計画の策定等を行ってきたが、今後最適化計画に従い、より利便性の高い電子申請システムの構築を図ることとしている。

(2)地域間物流の効率化
 複合一貫輸送等物流の効率化に向けて、貨物輸送力の増強や港湾・貨物駅等の物流結節点の整備等を進めている。鉄道貨物輸送については、輸送需要の多い東京・福岡間について、平成18年度完成の山陽線の輸送力増強に引き続き、北九州・福岡間の輸送力増強のための施設整備を実施している。
 また、トラック貨物輸送については、輸送全体の効率化を図るため、空港・港湾等と高速道路等を結ぶアクセス道路や、車両の大型化に対応した広域的な道路ネットワークを整備するとともに、17年10月施行の「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」により高速道路等の沿道及びインターチェンジ周辺における物流拠点の整備に対する支援を行っており、19年1月末時点で同法に基づく総合効率化計画の認定は83件である。

(3)都市内物流の効率化
 環境問題、コンパクトシティの形成、大規模複合ビルの増加、駐車規制の厳格化等を背景に、都市内物流の効率化が課題となっている。国土交通省では平成19年3月に「都市内物流対策トータルプラン」を策定し、地域の関係者の連携促進による総合的な都市内物流の効率化を図っている。
 また、「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づき、同年3月末までに22都市、29箇所の流通業務市街地(注1)の整備が行われ(うち26箇所が稼動中)、流通業務施設の適切かつ集約的な立地により都市の流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図っている。
 さらに、路上荷捌き駐車を削減するため、駐車場附置義務条例に荷捌き施設を位置付けるよう地方公共団体に促している。同年3月末現在で81自治体において、一定の商業施設等への荷捌き施設の設置義務付けを内容とする条例改正が実施された。
 このほか、大都市圏の通過交通を迂回させる環状道路・バイパス等の整備や踏切道の改良により渋滞の原因であるボトルネックの解消を図るとともに、積載効率の向上を目的とし、トラックの自営転換(注2)等のソフト施策を併せて推進している。

(4)新たな物流サービスの取組み
 新たな物流サービスである3PL(注3)は、荷主企業の本業への経営資源集中や、物流部門における規制緩和等を背景に高い成長を続けており、我が国においても、今後3PLの高い成長が期待されている。
 国土交通省では、3PLを推進するため平成16年度から3PL人材育成研修を開始し、毎年度実施するとともに「物流総合効率化法」による支援を行っている。


(注1)トラックターミナル、倉庫等の物流関連施設が集約的に立地した大規模物流拠点として、郊外部の適地に建設された市街地
(注2)荷主の自家用トラックから輸送効率の良い営業用トラックへ転換すること
(注3)サード・パーティー・ロジスティクス:荷主から物流を一貫して請け負う高品質のサービス

 

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