第II部 国土交通行政の動向 

5 シックハウス、土壌汚染問題等への対応

(1)シックハウス対策
 住宅に使用する内装材等から発散する化学物質が居住者等の健康に影響を及ぼすおそれがあるとされるシックハウスについて、「建築基準法」に基づく建築材料及び換気設備に関する規制や「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく性能表示制度等の対策を講じている。
 また、官庁施設の整備に当たっては、化学物質を含有する建築材料等の使用の制限に加え、施工終了時の室内空気中濃度の測定等による対策を講じている。
 
図表II-7-6-3 シックハウス問題のイメージ

図表II-7-6-3 シックハウス問題のイメージ

(2)土壌汚染対策
 「土壌汚染対策法」の施行に伴い、土壌汚染に関する土地取引上のリスクについての基本的な知識等を体系的に取りまとめて公表したほか、社会資本整備に必要な公共用地の取得についても、土壌汚染の状況を踏まえた適正な損失補償に関する基本的な考え方を取りまとめて公表することで、土地取引の安全性及び円滑性の確保を図っている。

(3)ダイオキシン類問題等への対応
 「建設工事で遭遇するダイオキシン類汚染土壌対策マニュアル(暫定版)」を平成17年6月に取りまとめ、ダイオキシン類問題が顕在化した現場における対応の参考としている。
 また、環境基準を超えるダイオキシン類含有汚泥が確認された港湾や河川では、19年7月に公表した港湾・河川事業共通の新たな技術基準や処理工法に関する「底質ダイオキシン類対策の基本的考え方」等に基づき、今後のダイオキシン対策を実施していく予定である。
 さらに、監視対象としている事業場から海洋へ排出される水が、排出基準を遵守しているか否かの確認をするために、ダイオキシン類による海洋の汚染度を継続監視している。
 
図表II-7-6-4 ダイオキシン類問題等への対応

図表II-7-6-4 ダイオキシン類問題等への対応

(4)アスベスト問題への対応
 アスベスト問題は、人命にかかわる問題であり、隙間のない健康被害の救済、今後の被害の未然防止、国民の有する不安への対応を行うために、各省の緊密な連携の下にスピード感を持って対応しなければならない。
 国土交通省では、今後の被害の未然防止を図るため、建築物における吹付けアスベスト等の使用を規制することを内容とする「建築基準法」の改正を受け、平成18年10月から施行した。
 また、既存施設におけるアスベスト除去等の対策としては、1)公共施設、公共住宅等について、地方公共団体等によるアスベスト除去等に対する支援、2)国家機関の建築物等について、緊急性の高いものから除去等を実施、3)多数の方が利用する建築物について、吹付けアスベストの除去等に対する助成、4)事業者に対する日本政策投資銀行等の低利融資等を行っている。
 さらに、国民の有する不安への対応として、1)住宅性能表示制度のアスベストに関する性能表示事項の基準の策定(18年10月)、2)「宅地建物取引業法」上、アスベスト調査に関する事項を重要説明事項に追加(同年4月施行)、3)アスベストを建物の鑑定評価実務に的確に反映する方策について検討、4)アスベスト含有建材についての情報をデータベース化し一般公開した。
 今後とも、既存建築物等における吹付けアスベストの除去等の対策や、建築物の解体現場におけるアスベスト飛散防止の徹底等を行うための必要な対策を推進していく。

 

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