第II部 国土交通行政の動向 

3 地理空間情報を高度に活用する社会の実現

 ICT基盤の急速な整備に伴い、地理情報システム(GIS)が普及してきており、地理空間情報(注1)を高度に活用した経済社会の実現を目指し、平成19年8月に「地理空間情報活用推進基本法」が施行された。国土交通省では、基盤地図情報(注2)等を含む地理空間情報や、地理情報標準等に関連する仕組みを整備するとともに、コンピュータ上に構築する仮想的な国土である「電子国土」の構築を推進している。

(1)地理空間情報の活用の推進
 国土管理に必要な数値地図等の基本図データ、主題図データ(土地条件図等)、正確な位置情報を提供する基準点GIS(注3)等地理空間情報の整備を進めている。加えて、国土変遷アーカイブ事業として、国土地理院が保有する旧版地図等のデジタル化・アーカイブ(保存記録)化を行っている。
 また、保有する「国土数値情報」、空中写真、全国の電子基準点の観測データ、基準点位置情報等について、インターネットによる提供・供覧を実施している。
 さらに、ISO19100シリーズ(注4)の国内標準化手続を順次進めているほか、各府省が保有する地理空間情報について一括検索できる「地理情報クリアリングハウス」の充実や、インターネット上で地理空間情報を統合・共有できる「電子国土Webシステム」(注5)の構築・普及を図るなど地理空間情報の活用を推進している。

(2)基盤地図情報の整備・提供の推進
 国・地方公共団体等が作成した大縮尺地図データを集約して、地理空間情報の位置の基準となる共通の白地図である基盤地図情報を整備している。さらに、インターネットによる提供に向けての検討を行っている。


(注1)空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む。)及びこの情報に関連付けられた情報
(注2)地理空間情報のうち、電子地図上における地理空間情報の位置を定めるための基準となる測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線、行政区画その他の国土交通省令で定めるものの位置情報(国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)であって電磁的方式により記録されたものをいう。
(注3)基準点(電子基準点、三角点、水準点等)の位置情報(測量履歴、現況情報等を含む)をGISを利用してデータベースで管理し、オンラインで情報提供するシステム」
(注4)ISOの地理情報に関する専門委員会(TC211)で決定した地理情報に関する技術要件の国際規格。この規格に準拠したデータを作成することで、異なるGISシステムにおいても様々なデータが相互に利活用できるようになる。
(注5)電子国土Webシステムを利用して地理空間情報を発信する団体の数は、平成20年1月末現在で969団体

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む