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国土交通白書 2020

第1節 我が国を取り巻く環境変化

■3 就業状況の変化

(1)就業者数の推移

 我が国の就業者数は、2001年(平成13年)の6,412万人から2012年には6,280万人まで減少したものの、近年は増加傾向にあり、2019年には6,724万人となっている。

 15~64歳人口(生産年齢人口)が減少する中、近年の就業者数が増加しているのは、女性や高齢者(65歳以上)の就業率の上昇等に起因している。2012年からの変化を見ると、15~64歳男性の就業率は3.9%の上昇にとどまり就業者数が56万人減少している一方、15~64歳女性の就業率は10.2%上昇の70.9%、就業者数は204万人の増加となっている。また、高齢者は、2012年から5.4%上昇し24.9%の就業率となり、就業者数は296万人増加している(図表I-1-1-24)。

図表I-1-1-24 就業者数と就業率の推移
図表I-1-1-17 就業者数と就業率の推移
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(2)地域別の就業の推移

 2001年(平成13年)以降の全国の有効求人倍率を見ると、2006年まで緩やかに上昇した後、リーマンショック等の影響を受けて2009年には0.47倍まで低下した。その後は上昇傾向にあり、2019年には1.60倍となっている。

 地域区分別の有効求人倍率の推移を見ると、2006年には東京圏で1.25倍、名古屋圏・大阪圏で1.26倍となる一方、地方圏では0.91倍であり、三大都市圏と地方圏では開きがあった。その後、2009年の落ち込みとともにその差は縮まり、2019年では三大都市圏、地方圏ともに1.50倍を超える水準まで上昇している(図表I-1-1-25)。

図表I-1-1-25 地域区分別の有効求人倍率の推移
図表I-1-1-25 地域区分別の有効求人倍率の推移
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(3)産業別の就業の推移

(建設業や運輸・郵便業の就業者数)

 産業別の就業者数の推移を見ると、全体では2012年(平成24年)以降増加傾向となっている一方、建設業では2002年の618万人から2010年に504万人まで減少し、近年は横ばいで推移している(2019年499万人)。また、運輸・郵便業では2002年以降緩やかな増加傾向にあったが、2010年に352万人となった後、近年は横ばいで推移している(2019年347万人)(図表I-1-1-26)。

図表I-1-1-26 産業別の就業者数の推移
図表I-1-1-26 産業別の就業者数の推移
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 また、就業者に占める女性の割合は、全体では2002年の41.0%から毎年徐々に上昇し、2019年では44.5%となっている。それに対して、建設業では近年上昇傾向にあるものの、2019年で16.8%と全体に比べ低い水準にある。同様に運輸・郵便業でも近年上昇傾向にあるものの、2019年で21.3%と低い水準となっている注8

(有効求人倍率の上昇)

 職業別の有効求人倍率の推移を見ると、全職業の合計では2009年(平成21年)に0.44倍まで低下した後上昇に転じ、2019年には1.45倍となっている。建設関連の職業においても同様に2010年以降の有効求人倍率は上昇傾向にあるが、その上昇幅が大きく、2019年には建設・土木・測量技術者が5.86倍、土木の職業が5.21倍、建設の職業が5.02倍となるなど、高い水準となっている。運輸関連の職業においても同様の傾向にあり、自動車運転の職業では2019年の有効求人倍率は3.10倍となっている(図表I-1-1-27)。

図表I-1-1-27 職業別の有効求人倍率の推移
図表I-1-1-27 職業別の有効求人倍率の推移
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(就業者の高齢化)

 就業者の年齢構成の推移を見ると、全産業で29歳以下の就業者の割合が低下する一方、55歳以上の就業者の割合が上昇し2019年(令和元年)には30.5%となるなど、高齢化が進んでいる。

 建設業や運輸・郵便業においては全産業平均に比べて高齢化が進んでおり、建設業では55歳以上の就業者の割合が2002年の24.8%より10.4%上昇し、2019年には35.2%となっている。運輸・郵便業でも2002年の22.8%より9.6%上昇し、2019年には32.4%となっている(図表I-1-1-28)。また、2019年の運輸・郵便業の55歳以上の就業者を詳細に見ると、道路貨物運送業(トラック運転手等)は28.9%であるが、道路旅客運輸業(バス、タクシー運転手等)については61.2%と著しく高い注9

図表I-1-1-28 産業別の就業者の年齢構成の推移
図表I-1-1-28 産業別の就業者の年齢構成の推移
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(4)外国人労働者の推移

近年、外国人労働者は増加傾向にあり、2019年(令和元年)10月末現在で166万人に達した。

2019年10月末現在の外国人労働者について産業別構成比を見ると、製造業が29.1%で最も高く、建設業は5.6%、運輸・郵便業は3.5%とその割合は低い。しかしながら、産業別の外国人労働者数を2009年と2019年で比較すると、全体では2.9倍、製造業で2.2倍の増加であるのに対し、建設業では8.1倍、運輸・郵便業で4.3倍と大きく増加している注10(図表I-1-1-29)。
図表I-1-1-29 産業別の外国人労働者数の推移
図表I-1-1-29 産業別の外国人労働者数の推移
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  1. 注8 総務省「労働力調査」より
  2. 注9 総務省「労働力調査」より
  3. 注10 産業分類(大分類)の全20業種の中では、建設業の増加率は最も高く、運輸・郵便業は5番目に高い。