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国土交通白書 2020

第2節 地球環境・自然災害に関する予測

コラム 「地域を知って防災・減災に活かす~地理院地図の可能性~」

 我が国は水害に度々見舞われてきました。そのことは、水に関係した地名が多いことにも表れています。

 かつて川や湿地であったところは、宅地整備のための埋め立てや治水を目的とした流路の変更などにより、従来とは異なる姿になっていきました。例えば、東京都と埼玉県の境を流れる荒川は、昔は今のようにまっすぐではなく大きく蛇行を繰り返しており、県境も明治時代と現代とでは異なります。かつて川が流れていた箇所は、今では公園の池や道路、住宅などに変わっています。川や湿地を表す昔からある地名も街の整備と共になくなってきていますが、公園、神社、踏切や学校の名称などに昔の地名が残されている場合もあります。

川や湿地などを表す地名の一例
川や湿地などを表す地名の一例

 昔の地域の状況を知る手掛かりとして、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/)を活用することができます。パソコンやスマホからアクセスができる「地理院地図」では、現在の地図に明治期の低湿地等の情報を重ね合わせることで、かつて川や湿地だった水害と関連の深い土地を見ることができます。また、昔の地名を探せば、地域の性質を知る手掛かりが見つかるかもしれません。

 ハザードマップと地理院地図をあわせて見ることで地域の水害リスクの理解につながり、必要となる災害対策を事前に行うことが可能になります。

現在の地図に明治期の低湿地データを重ね合わせて作図
現在の地図に明治期の低湿地データを重ね合わせて作図