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国土交通白書 2020

第3節 良好な景観形成等美しい国づくり

■2 自然・歴史や文化を活かした地域づくり

(1)我が国固有の文化的資産の保存・活用等に資する国営公園等の整備

 我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用等を図るため、国営公園等の整備を推進しており、17公園が開園している。令和元年度には、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園等の整備を行った。また、閣議決定に基づき、「明治150年」関連施策の一環として、明治記念大磯邸園の整備を行った。

(2)古都における歴史的風土の保存

 京都市、奈良市、鎌倉市等の古都においては、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」に基づき、建築物等の新・増・改築、宅地の造成等行為の制限を行うとともに、土地の買入れなどの古都保存事業や普及啓発活動等を実施することにより、歴史的風土の保存を図っている。

図表II-3-3-2 昭和7年創建当時の姿で保存改修した彦根地方気象台
図表II-3-3-2 昭和7年創建当時の姿で保存改修した彦根地方気象台

(3)歴史的な公共建造物等の保存・活用

 地域のまちづくりに寄与するために、長く地域に親しまれてきた歴史的な官庁施設の保存・活用を推進している。歴史的砂防関係施設(令和2年3月31日現在、重要文化財2件、登録有形文化財204件)については、施設及びその周辺環境一帯を地域の観光資源の核として位置付け、環境整備を行うなど、新たな交流の場の形成に資する取組みを促進している。

図表II-3-3-3 創建当時の意匠を残しつつリニューアルした彦根地方気象台の木造階段
図表II-3-3-3 創建当時の意匠を残しつつリニューアルした彦根地方気象台の木造階段

(4)歴史文化を活かしたまちづくりの推進

 地域の歴史や伝統文化を活かしたまちづくりを推進するため、「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)」に基づき、81市町(令和2年3月31日現在)の歴史的風致維持向上計画を認定し、計画に基づく取組みを支援している。また、良好な景観や歴史的風致の形成を推進するため、景観・歴史資源となる建造物の改修等の支援を行った。

図表II-3-3-4 荒川流域の歴史的治水・砂防施設を巡る観光・交流イベントを推進(福島県福島市)
図表II-3-3-4 荒川流域の歴史的治水・砂防施設を巡る観光・交流イベントを推進(福島県福島市)

(5)ミズベリング・プロジェクトの推進

 「ミズベリング」とは、日常的な生活や経済活動を営みながら、身近にある川をほとんど意識していない人々や民間企業に対し、川の外から改めて川の価値を見いだす機会を提供する取組みである。

 多様な主体が連携したソーシャルデザインを生み出しながら、全国各地の水辺から地域活性化を実現しようとする活動であり、全国64箇所以上で展開されている。

 川の価値を生かし、地域の宝としての役割を果たせるよう、ミズベリングを通じて地域の人々や民間企業の取組み支援を推進する。

図表II-3-3-5 川床のスケッチ(宮川:岐阜県高山市)
図表II-3-3-5 川床のスケッチ(宮川:岐阜県高山市)
図表II-3-3-6 実現した川床の様子(宮川:岐阜県高山市)
図表II-3-3-6 実現した川床の様子(宮川:岐阜県高山市)

(6)グリーンインフラの推進

 社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組みである「グリーンインフラ」を推進する。令和元年度にはグリーンインフラの推進の方策等をとりまとめた「グリーンインフラ推進戦略」を公表し、国、地方公共団体、民間企業、大学、研究機関等、多様な主体が幅広く参画するグリーンインフラ官民連携プラットフォームを設立した。