国土交通白書 2021

コラム タクシー運転手さんが買い物を代行してくれる 「ご近所さんタクシー」株式会社未来都

　新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出の自粛が求められています。しかし、「密の回避のため外出したくないが、薬の受取に行かなければならない」、「病気療養のため外出できないが、生活用品の買い物に行かなければならない」という方は結構いるのではないかと思います。

　一方、タクシー業界は、需要が減少し、経営環境が厳しくなっています。この状況を踏まえ、大阪のタクシー事業者「株式会社未来都」では、生活用品の配達ニーズとタクシーによる運送をマッチングする画期的なサービス「ご近所さんタクシー」を2020年5月より始めました。

　「ご近所さんタクシー」は、コロナ禍の外出自粛や病気療養、もしくは外出が困難なお客さまの日常生活におけるスーパー等の店舗でのお買い物代行、病院の順番待ち、お墓の清掃代行等をお客さまに代わって代行するサービスです。

　さらに、忘れ物の受取、チケット・切符の予約・購入まで幅広く利用が可能であり、ご近所さんにお願いする感覚で、担当乗務員がお客さまの要望を電話で細かく伺い、最大限要望に応じた対応をしてくれます。買い物代行にとどまらず、何でも気軽に代行をお願いできるというところが、このサービスの面白いところですね。

　株式会社未来都では、多様化するお客さまニーズに応え、愛されるタクシーを目指すべく、利便性の高い施策やユニークなサービス等を打ち出すプロジェクト「めっちゃええやんタクシープロジェクト」を2017年にスタートし、様々なサービスの提供に取り組んでいます。例えば、大阪をこよなく愛する乗務員が観光案内し、短時間でも自由気ままにサクッと大阪らしさを満喫できる「大阪コテコテ観光タクシー」の運行や、採用活動強化策の一環として、応募者の自宅前が面接会場になる「タクシー車内DEめっちゃ気軽に面接」などを実施しています。

　もとよりタクシーは、利用者の移動ニーズに1対1できめ細やかに対応する事業なので、買い物、観光など、移動を介する多様なニーズにも対応できる余地があります。タクシー業界にとって、コロナ禍による需要減少は非常に苦しい状況ですが、様々な工夫により、コロナ禍を乗り越えるとともに、コロナ禍収束後に向けて、人々の多様化するニーズに的確に対応する優れたサービスに発展していって欲しいですね。