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国土交通白書 2021

第2節 災害リスクの増大や老朽化インフラの増加

■3 令和2年7月豪雨により顕在化した課題

( 1 )高齢者福祉施設における避難確保

 令和2年7月豪雨による被害が集中した熊本県では、球磨川等の河川の氾濫が発生し、球磨村の特別養護老人ホームにおいて、浸水により14人の尊い人命が失われた(図表Ⅰ-2-2-10)。高齢者福祉施設等の要配慮者利用施設における避難については、地域防災計画に定めた要配慮者利用施設を対象として、その所有者または管理者に対して、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務付けられていた。被害が発生した特別養護老人ホームでは「避難確保計画」を作成し、避難訓練も実施していたが、今回の被害が発生してしまった。この被害から、要配慮者利用施設における避難の実効性確保という課題が新たに認識された。

図表Ⅰ-2-2-10 球磨川の浸水区域(特別養護老人ホームの位置)
図表Ⅰ-2-2-10 球磨川の浸水区域(特別養護老人ホームの位置)

資料)国土交通省

( 2 )新たな道路災害リスク

 令和2年7月豪雨による道路への被害については、球磨川沿いの橋梁10橋が流失した他、河川に隣接する区間での道路の流失や、道路区域外での大規模な土砂崩落により道路が寸断されるなどの被害が発生した。このため、通行止めが長期化する渡河部の橋梁流失や河川隣接区間の道路流失等の災害リスク、高度化された点検手法等により新たに把握された災害リスク等への対策が必要である。