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国土交通白書 2021

第2節 災害リスクの増大や老朽化インフラの増加

■4 防災に関する国民意識

 国土交通省では、激甚化・頻発化あるいは切迫する自然災害や、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、働き方、住まい方、生き方に対する国民の意識の変化等に関する調査注5(国民意識調査)を実施した。この国民意識調査の結果によれば、10年ほど前(東日本大震災前)との比較において、自然災害の発生件数及び自然災害の規模の感じ方は、発生件数は増加、規模についても大きくなってきていると感じる人の割合が最も多くなっている(図表Ⅰ-2-2-11)。これにより、近年の大規模地震、豪雨災害など災害の激甚化・頻発化や切迫を背景に、災害に対する警戒感は高まっていると考えられる。

図表Ⅰ-2-2-11 10年ほど前との自然災害発生件数及び規模の感じ方
図表Ⅰ-2-2-11 10年ほど前との自然災害発生件数及び規模の感じ方

資料)国土交通省「国民意識調査」

 また、自然災害への対策について、「10年前に行っていたこと(A)」は、「何もしていない」人が52.0%と半数以上を占めていたが、「最近2年から3年で行っていること(B)」は、「何もしていない」人は39.5%と12.5pt減少した。このうち被災経験がある人は(A)41.1%→(B)23.9%と17.2ptの減少、被災経験がない人は(A)55.4%→(B)44.4%と11.0ptの減少となっており、被災経験のない人の方が災害への対策は不充分な傾向があり、「何もしていない」人の被災経験の有無での差は拡大している。ただし全体としては、「ハザードマップや避難所・経路の確認」は17.9pt上昇(20.0%→37.9%)、「マイ・タイムラインの作成」は1.6pt上昇(2.9%→4.5%)、「食料・水等の備蓄や非常持ち出しバッグ等の準備」は13.0pt上昇(22.8%→35.8%)、「防災情報の収集(アプリ・ポータルサイト等の活用)」は10.0pt上昇(6.6%→16.6%)など(図表Ⅰ-2-2-12、図表Ⅰ-2-2-13)、被災経験のある人だけではなく、被災経験のない人においても対策を講じている人の割合は明らかに増加しており、近年の災害の激甚化・頻発化あるいは切迫を背景に、国民の防災意識は高まっていると考えられる。

図表Ⅰ-2-2-12 10年ほど前に行っていた自然災害への対策、被災経験の有無
図表Ⅰ-2-2-12 10年ほど前に行っていた自然災害への対策、被災経験の有無

資料)国土交通省「国民意識調査」

図表Ⅰ-2-2-13 最近2年から3年に行っている自然災害への対策、被災経験の有無
図表Ⅰ-2-2-13 最近2年から3年に行っている自然災害への対策、被災経験の有無

資料)国土交通省「国民意識調査」

 防災・減災の実現に重要と考えること(図表Ⅰ-2-2-14)について、「特にない」の回答は14.2%に留まっており、防災・減災対策の必要性が認識されている。重要と考えられている対策としては「ハザードマップや避難場所・経路の確認」が54.9%と最も多く、「食料・水等の備蓄や非常持ち出しバッグ等の準備」が52.5%と続く。また「自身や家族への災害に関する学習・教育」についても23.3%が重要と考えており、一人一人が防災・減災に取り組むことの重要性が認識されてきていると言える。

図表Ⅰ-2-2-14 防災・減災の実現に重要と考えること
図表Ⅰ-2-2-14 防災・減災の実現に重要と考えること

資料)国土交通省「国民意識調査」

  1. 注5 2021年1月~2月に全国18歳以上の個人10,000人を対象としインターネットを通じて実施。性別(2区分:男、女)、 年齢(5区分:18~29、30~39、40~49、50~59、60~)、居住地(4区分「三大都市圏」(※)、「政令市・県庁所在地・中核市」、「人口5万人以上の市町村」、「人口5万人未満の市町村」)
    ※三大都市圏:東京圏、名古屋圏、大阪圏の1都2府7県
    東京圏:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
    名古屋圏:愛知県、三重県、岐阜県
    大阪圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県