国土交通省ロゴ

国土交通白書 2021

第4節 デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れと成長の停滞

■1 人口減少・高齢化と経済成長の停滞

( 1 )人口減少・高齢化の進行

 我が国の総人口は、戦後から増加が続いていたが、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じ、2020年10月現在では1億2,571万人となっている。年齢構成別では、15~64歳人口(生産年齢人口)が1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2020年には7,449万人まで減少している。一方、65歳以上人口は増加が続いており、2020年には3,619万人となっており、65歳以上人口が総人口に占める割合(高齢化率)も2000年の17.4%から2020年では28.8%まで上昇している(図表Ⅰ-2-4-1)。

図表Ⅰ-2-4-1 我が国の人口の推移
図表Ⅰ-2-4-1 我が国の人口の推移

資料) 総務省統計局「国勢調査」(2008年及び2020年は総務省統計局「人口推計」)より国土交通省作成

 また、2000年の総人口を100とした場合、我が国の2050年の推定人口値は83.0まで減少すると予測されており、世界主要国の中で最も人口減少が進む。また、2050年の高齢化率は37.7%になると予測されており、世界主要国の中でもトップクラスの数値である(図表Ⅰ-2-4-2)。

図表Ⅰ-2-4-2 主要国の人口増減と65歳以上人口比率
図表Ⅰ-2-4-2 主要国の人口増減と65歳以上人口比率

資料)国際連合World Population Prospects 2019 より国土交通省作成

 そして、第1章第1節1.のとおり、2020年の出生数は大きく減少しており、この傾向が継続すると、少子化と人口減少がさらに加速する可能性がある。

( 2 )経済成長の停滞

 我が国の実質GDP成長率を見ると、「高度経済成長期」「安定成長期」「低成長期」へと移り変わるにつれて、平均9%台、4%台、1%台へと段階的に低下しており、1990年代初頭のバブル経済崩壊以降、低成長を続けている。(図表Ⅰ-2-4-3)

図表Ⅰ-2-4-3 実質GDP成長率と名目GDPの推移
図表Ⅰ-2-4-3 実質GDP成長率と名目GDPの推移

(注)1979年度(成長率は1980年度)以前は「平成10年度国民経済計算(1990年基準・68SNA)」
1980~1993年度(成長率は1981~1994年度)は「支出側GDP 系列簡易遡及(2011年基準・08SNA)」
1994年度(成長率は1995年度)以降は「2020年10-12月期四半期別GDP 速報(2次速報値)(2015年基準・08SNA)」による。
なお、1993年度以前の総額の数値については、異なる基準間の数値を接続するための処理を行っている。
資料)内閣府「国民経済計算」より国土交通省作成

 我が国は、上述のとおり、人口減少・少子高齢化が進行していることから、生産年齢人口は今後も減少していくと考えられる。より少ない生産年齢人口で持続的な経済成長を実現するには、労働生産性の向上が非常に重要であるが、我が国の労働生産性は世界と比較して低いのが現状である。2019年の我が国の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、81,183ドル(824万円)であり、OECD加盟37か国中26位で、1970年以降最も低くなっている。(図表Ⅰ-2-4-4、図表Ⅰ-2-4-5)。

図表Ⅰ-2-4-4 OECD加盟諸国の労働生産性
図表Ⅰ-2-4-4 OECD加盟諸国の労働生産性

資料)日本生産性本部「労働生産性の国際比較2020」

図表Ⅰ-2-4-5 就業者1人当たり労働生産性 上位10か国の変遷
図表Ⅰ-2-4-5 就業者1人当たり労働生産性 上位10か国の変遷

資料)日本生産性本部「労働生産性の国際比較2020」

 また、我が国の実質労働生産性上昇率の推移をみると、バブル経済崩壊以降は、実質GDP成長率同様、低い水準で推移していることが分かる(図表Ⅰ-2-4-6)。

図表Ⅰ-2-4-6 年代別にみた日本の実質労働生産性上昇率の推移
図表Ⅰ-2-4-6 年代別にみた日本の実質労働生産性上昇率の推移

資料)内閣府「国民経済計算」・総務省「労働力調査」・厚生労働省「毎月勤労統計」より日本生産性本部作成「生産性データベース(JAMP)」