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国土交通白書 2021

第3節 社会資本整備の推進

第3節 社会資本整備の推進

 社会資本整備重点計画は、「社会資本整備重点計画法」に基づき、社会資本整備事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するために策定する計画である。第4次計画の策定(平成27年)以降、自然災害の激甚化・頻発化やインフラの老朽化の進展、人口減少による地域社会の変化や国際競争の激化、デジタル革命の本格化やグリーン社会の実現に向けた動き、ライフスタイル・価値観の多様化など、社会情勢は大きく変化した。これに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会経済活動のあり方や人々の行動・意識・価値観に多大な影響を及ぼしている。こうした点を踏まえ、令和3年5月に閣議決定予定の第5次計画(令和3~7年度)では、今後進むべき社会のあり方を見据えた上で、その実現に資するような社会資本整備を進めていく。具体的には、計画期間内(5年)に達成すべき6つの重点目標(「防災・減災が主流となる社会の実現」、「持続可能なインフラメンテナンス」、「持続可能で暮らしやすい地域社会の実現」、「経済の好循環を支える基盤整備」、「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)」、「インフラ分野の脱炭素化・インフラ空間の多面的な利活用による生活の質の向上」)と19の政策パッケージを設定するとともに、代表的な指標についてはKPI(Key Performance Indicator)として位置づけ、その達成に向け、インフラのストック効果を最大限発揮させるため、「3つの総力」と「インフラ経営」の視点を追加している。「3つの総力」については、様々な主体の連携による「主体の総力」、ハード・ソフト一体となった取組や新技術の社会実装などの「手段の総力」、インフラの整備だけでなく、将来の維持管理・利活用まで見据えた取組を行うという「時間軸」の総力により、社会資本整備を深化させていく。「インフラ経営」については、インフラを、国民が持つ「資産」として捉え、整備・維持管理・利活用の各段階において、工夫を凝らした新たな取組を実施することにより、インフラの潜在力を引き出すとともに、インフラによる新たな価値を創造する。また、持続可能で質の高い社会資本整備を下支えするための取組として、「戦略的・計画的な社会資本整備のための安定的・持続的な公共投資」と「建設産業の担い手の確保・育成、生産性向上」が必要である。

 さらに、新たに設定される重点目標を達成するため、全国レベルの第5次社会資本整備重点計画に基づき、各地方の特性、将来像や整備水準に応じて重点的、効率的、効果的に社会資本を整備するための計画として「地方ブロックにおける社会資本整備重点計画」を策定する。我が国は、これまでも、安全・安心の確保や持続可能な地域社会の形成、経済成長を図るためにインフラ整備を進めてきたが、引き続きこれらの目的を達成していく上で必要となるインフラが十分ではないとの指摘もある。こうした中、現在の我が国のインフラが置かれている状況をしっかりと把握した上で、必要となる社会資本の整備に戦略的・計画的に取り組んでいかなくてはならない。

図表Ⅱ-2-3-1 第5次社会資本整備重点計画の概要
図表Ⅱ-2-3-1 第5次社会資本整備重点計画の概要