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国土交通白書 2021

第3節 社会資本整備の推進

コラム ストック効果最大化を目指して

 社会資本の整備には、フロー効果とストック効果があります。フロー効果は、公共投資の事業自体により、雇用等の経済活動が創出され、短期的に経済全体を拡大させる効果です。一方で、ストック効果は、インフラが社会資本として蓄積され、機能することで継続的に中長期的にわたり得られる効果です。

 また、ストック効果には、耐震性の向上や水害リスクの低減といった「安全・安心効果」や、生活環境の改善やアメニティの向上といった「生活の質の向上効果」のほか、移動時間の短縮等による「生産性向上効果」といった社会のベースの生産性を高める効果があります(図1)。

図1 社会資本のストック効果
図1 社会資本のストック効果

 ストック効果の具体例としては、新東名高速道路・新名神高速道路の整備により、物流の効率化など生産性の向上を図ることで、民間投資の誘発にもつながっています。これにより、静岡県では、県内における工場立地が進み、立地件数は開通前(平成10年~16年)の363件(全国3位)から、開通直前(平成17年~23年)には577件(全国1位)に増加、開通後(平成24年~30年)も463件(全国1位)となっています。また、今後のトラック隊列走行の実現も見据えた新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化完成により更なる工場立地件数の増加も期待されます。(図2)。

図2 新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化
図2 新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化

 我が国の人口が減少していく中においても、我が国が持続可能な発展を遂げ、現在を生きる我々や将来の世代が安全・安心に活力ある日々を送るためには、ストック効果を最大限に発揮する社会資本整備が求められています。

 このため、国土交通省では、主体・手段・時間軸の「3つの総力」を挙げ、社会資本整備を深化させていきます。また、インフラを「経営」する発想に立ち、整備・維持管理・利活用の各段階において工夫を凝らした取組を行うことにより、インフラの潜在力を引き出し、新たな価値を創造する取組を進めていきます。