
国土交通白書 2021
第1節 ユニバーサル社会の実現
( 1 )仕事と育児との両立の支援
①子育て世帯に適した住宅確保等の支援
子育て世帯に適した住宅・居住環境を確保するため、高齢者等が有する比較的広い住宅を子育て世帯等向けの賃貸住宅として活用する住み替え制度を支援しており、これにより(一社)移住・住みかえ支援機構のマイホーム借上げ制度が推進されている。また、子育て世帯向けの賃貸住宅(地域優良賃貸住宅)の整備及び家賃低廉化や、公的賃貸住宅と子育て支援施設等との一体的整備に対して、地方公共団体を通じて支援している。
②テレワークの推進
ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワークは、子育て・介護等を行う労働者に対する就業継続性の確保、女性・高齢者・障害者等の社会進出による一億総活躍社会の実現や新たな働く場の創出等による地方都市等の活性化及び企業活動の生産性やワーク・ライフ・バランスの向上につながるものとして、その推進が求められている。
「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」や「ニッポン一億総活躍プラン」及び「未来投資戦略2018」において、テレワークの推進が位置づけられている他、「働き方改革実行計画」にもその重要性が記載され、また、新型コロナウイルス感染症対策としてもこれまで以上にテレワークの推進に向けた機運が高まってきている。
国土交通省では、総務省、厚生労働省、経済産業省や関係者団体等とともに、東京2020大会の開会式が予定されていた7月24日注1を「テレワーク・デイ」と定め、全国一斉のテレワーク実施を呼びかけている。第1回目となる平成29年は、約950団体・6.3万人、第2回目となる30年は、「テレワーク・デイズ2018」として日数・規模を約1週間に拡大して実施し、1,682団体、約30.2万人が参加した。第3回目となる令和元年は、7月22日~9月6日の約1ヶ月半を「テレワーク・デイズ2019」として実施を呼びかけ、2,887団体、約68万人が参加し、国民運動として大きな広がりを見せた。2年では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、東京2020大会の延期が決定したが、新しい生活様式を定着させ、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能とすることが必要であることから、引き続き、柔軟な働き方を実現するテレワークの全国的な推進を行うため、継続したテレワーク推進の呼びかけ、テレワーク拠点整備への支援制度の創設等を実施した。また、テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握を行った。
( 2 )子どもがのびのびと安全に成長できる環境づくり
子どもをはじめとした公園利用者の安全・安心を確保するため、「都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂第2版)」、「プールの安全標準指針」、「公園施設の安全点検に係る指針(案)」について各施設管理者へ周知を行うとともに、社会資本整備総合交付金等により、地方公共団体における公園施設の安全・安心対策を重点的に支援している。
( 3 )高速道路のサービスエリアや「道の駅」における子育て応援
全国の高速道路のサービスエリア及び国が整備した「道の駅」において、令和3年度を目途に、ベビーコーナーの設置、屋根付きの優先駐車スペースの確保等を完了させるなど、高速道路のサービスエリアや「道の駅」における子育て応援の取組みを推進した。今後、高速道路会社や地方自治体と連携しながら、子育て応援施設の整備を加速していく。
- 注1 2020年3月30日に、東京オリンピックは2021年7月23日から、開催されることが決定された。