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国土交通白書 2021

第2節 自然災害対策

コラム 令和2年7月豪雨でも治水事業が効果を発揮!

 近年、気候変動の影響により災害の激甚化・頻発化が懸念されており、大規模な災害が全国各地で毎年発生しています。令和元年東日本台風においては、関東、北陸、東北地方の各地で全142箇所の堤防決壊が発生するなど、多くの人的被害や経済被害が生じました。その結果、令和元年の水害被害額は、全国で約2兆1,800億円となり、1年間の津波以外の水害被害額が統計開始以来最大となりました。

 さらに、昨年の令和2年7月豪雨では、7月3日から7月31日にかけて、日本付近に停滞した前線の影響で、暖かく湿った空気が継続して流れ込み、各地で大雨となり、最上川や江の川、球磨川など国が管理する7水系10河川、県が管理する58水系193河川で決壊等による氾濫が発生するなど甚大な被害が生じました。

 一方で、計画的にインフラの整備や維持管理を実施してきた箇所では被害を免れたり、大きく軽減できた事例が確認されています。例えば、令和2年7月豪雨では、川内川水系羽月川において、70戸が浸水した平成18年7月洪水を上回る降雨を記録しましたが、平成18年以降、計画的に実施してきた堤防整備等と、令和2年度を最終年度とする「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」による河道掘削が効果を発揮した結果、水位を大きく低下させ、浸水戸数をゼロに抑えることができました。

 3か年緊急対策後においても、気候変動の影響により激甚化する風水害への対策や老朽化対策の加速化・深化等を推進するため、令和3年度からの5年間で、追加的に必要となる事業規模を政府全体で概ね15兆円を目途とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が令和2年12月に閣議決定されました。これに基づき、あらゆる関係者が協働して行う流域治水対策として、事前防災を加速してまいります。

【関連リンク】

防災ポータル https://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/index.html

国土交通省 川の防災情報 https://www.river.go.jp