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国土交通白書 2022

第2節 脱炭素化による経済と環境の好循環

■3 経済と環境の好循環に向けた市場等の動向

(1)脱炭素関連市場の動向等

(市場規模の動向)

 我が国の地球温暖化対策分野の市場規模は、直近の約20年間で増加傾向にあり、今後も増加することが見込まれている。その構成は、自動車の低燃費化、省エネルギー建築の割合が高く、2050年には同分野の市場規模は約63兆円となるとの指摘がある。

図表Ⅰ-1-1-18日本の地球温暖化分野における規模の推移及び将来予測
図表Ⅰ-1-1-18 日本の地球温暖化分野における規模の推移及び将来予測

(注)
1 本推計は既存産業の変化のみを対象(新産業の創出等により本推計を上回る可能性がある)
2 2019年度までが実績値、2020年度以降は将来予測値である。
資料)環境省「令和2年度 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」より国土交通省作成

 (グリーンプロジェクトの資金調達の動向)

 グリーンボンドは、企業や自治体等が国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券である。環境改善効果のある事業に充当されるものであり、グリーンボンドによる資金調達は、世界的に近年増加傾向にある。再生可能エネルギーや建築物の省エネルギー改修、次世代自動車の環境整備など、国土交通分野でも、グリーンボンドの活用等の動きが進んでいる。

図表Ⅰ-1-1-19グリーンボンド発行額(国内、世界)の推移
図表Ⅰ-1-1-19 グリーンボンド発行額(国内、世界)の推移

(注)
1 左:外貨建て発行分については、1米ドル=110円、1ユーロ=135円、1豪ドル=90円にて円換算
2 右:1米ドル=110円にて円換算。その他には、水資源管理、廃棄物処理、土地利用、産業情報、通信技術を含む。
資料)
左:環境省「グリーンファイナンスポータル」より国土交通省作成
右:Climate Bonds Initiativeウェブサイトより国土交通省作成

(脱炭素化に向けたイノベーションの推進)

 脱炭素化に向けて、関連分野でのイノベーションについては、経済成長への効果とともに、二酸化炭素削減への効果もあり重要である。「気候変動緩和技術」 に対する特許件数については、主要国では我が国が最も多くなっている。特にエネルギーに関連する特許が多く、次いで「輸送」関連技術の特許件数が多く、このうち、電気自動車や環境に配慮したガソリン車などの特許件数が多かった。また、他のOECD諸国と比べて、日本の労働生産性は低い状況にあり、イノベーションは労働生産性の向上にも寄与するため、経済成長との両立への効果が期待される。

図表Ⅰ-1-1-20気候変動緩和技術の特許件数、労働生産性
<気候変動緩和技術の特許件数>
図表Ⅰ-1-1-20 <気候変動緩和技術の特許件数>

資料)経済産業省「令和3年版通商白書」

<年間総労働時間と労働生産性>
図表Ⅰ-1-1-20 <年間総労働時間と労働生産性>

(注)労働生産性:GDP per hour of worked、年間総労働時間:Average annual hours actually worked per worker(2019)
資料)OECD. Statより国土交通省作成

(2)企業活動における気候変動に関連する取組み

 気候変動に対する関心は、民間レベルにおいても世界的に高まっており、気候変動対策が企業にとって経営上の重要課題となっている。国際的なビジネス・金融の分野においても、企業の年次財務報告において、財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に基づいた情報開示の取組みが世界的に広がりを見せるなど、企業活動における気候変動に関連する取組みの強化が求められる状況となっている。

 我が国のTCFD賛同企業数は急増している。また、国内における賛同企業の業種は、資本財や金融が多くのシェアを占めているが、不動産業なども含まれている。

図表Ⅰ-1-1-21TCFD賛同企業数(主要国・地域、日本)
図表Ⅰ-1-1-21 TCFD賛同企業数(主要国・地域、日本)

(注)左:2021年末時点における賛同企業数上位10の国・地域を掲載
資料)TCFDウェブサイトより国土交通省作成