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国土交通白書 2022

第1節 わたしたちの暮らしの脱炭素化に向けた取組みの課題と方向性

コラム 地域の生活環境と地域住民の生活の質(Well-being)

 都市や地域の構造の変化は、数十年単位の時間を要することから、今後の持続可能な発展のためには、将来を見据えた長期の取組みが必要である。このような息の長い取組みを続けていくためには、個々人の暮らしの質や地域の活力、歴史、文化等との関係を常に意識し、それら暮らしや地域の豊かさの維持・向上と環境負荷の軽減とを両立させていくことが重要である。

 地域の自然の豊かさや環境保全の状況、防災など都市や地域の生活環境は、地域の持続可能性とともに地域住民の生活の質(Well-being)を確保する観点からも重要である。

 国土交通省「国民意識調査(注)」では、お住まいの地域の生活環境に関する8項目について重要度と満足度をたずねたところ、地域の自然災害等に対する防災体制が重要視されている一方、満足度は低いことがわかった。また、都市規模別にみると、公共交通の利便性や安全な歩行空間について、特に小都市で満足度が低いことがわかった。

お住まいの地域の生活環境の重要度と満足度の分布(全国、都市規模別)
お住まいの地域の生活環境の重要度と満足度の分布(全国、都市規模別)

資料)国土交通省「国民意識調査」

 また、年齢別では、全体的に若年層で満足度が高く、高齢者層では満足度が低い傾向にあることがわかった。

お住まいの地域の生活環境の重要度と満足度(年齢別)
お住まいの地域の生活環境の重要度と満足度(年齢別)

資料)国土交通省「国民意識調査」

 地域住民の生活の質を確保する観点からは、人々の意識の動向を踏まえた対応が必要であり、例えば防災体制の強化といった重要度が高く満足度が低い分野の取組みをこれまで以上に強化することや、小都市での公共交通の利便性など地域差に考慮した取組み、さらには世代別の傾向の差に配慮した取組みに一層目を向けていくことが考えられる。

(注)2022年2月に全国に居住する18歳以上の個人1,229人を対象としインターネットを通じて実施(性別:男・女の2区分で均等割り付け、年齢:18~29、30~39、40~49、50~59、60~の5区分で均等割り付け、居住地:200万都市、大都市、中都市、小都市の4区分※の人口構成比で割り付け)。
※200万都市:東京都区部および人口200万人以上の政令指定都市(横浜市、名古屋市、大阪市)
 大都市:人口200万人未満の政令指定都市
     (札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、京都市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市)
 中都市:人口10万人以上の市
 小都市:人口10万人未満の市および町村部