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国土交通白書 2022

第2節 再生可能エネルギー等への転換に向けた取組み

コラム 北九州港を活用した洋上風力発電の総合拠点化

 北九州市は、官営八幡製鉄所操業以来120年のものづくりのまちであり、現在では、SDGs未来都市として環境問題に積極的、継続的に取り組んでいる。また、臨海部に大型部材を扱える港湾施設や広大な産業用地、背後にものづくり産業を支える企業の集積、また良好な風況を備えており、風力関連産業の集積、洋上風力発電の立地に適している。洋上風力発電は、関連産業の裾野が広く新たな産業の創出につながることから、地元企業や新たに誘致する企業を含めた地域経済の活性化が企図されている。

 北九州市は、2050年ゼロカーボンシティを宣言しており、その実現に向けて北九州市グリーン成長戦略を策定するとともに、風力発電の導入促進と風力発電関連産業の総合拠点化を掲げており、エネルギーの脱炭素化とイノベーションの推進を図ることとしている。

 また、カーボンニュートラルポート形成に向けた取組みを進めている北九州港は、2020年9月に港湾法における「海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾」(基地港湾)として西日本で唯一指定されており、これを核として、市は、若松区響灘地区を中心に、風力発電関連産業の総合拠点形成を図る「グリーンエネルギーポートひびき」事業を展開している。具体的には、風車設置場所へ風車を運び出す「風車積出拠点」、風車部品の輸出入等の拠点となる「輸出入・移出入拠点」、風車の運転・管理、メンテナンスを行う「O&M拠点」、部品の製造・組立など風力発電関連産業を集積した「産業拠点」の4つの拠点機能の集積を進めている。また、響灘の港湾区域では、大規模洋上ウインドファームとして、2025年度には25基の風車が運転を開始する計画となっている。さらに、将来的には響灘の港湾区域に限らず、九州をはじめ西日本エリア全体の一般海域等の風車の設置やメンテナンスなど、風力発電に関わる様々なサービスの提供体制の確立を目指している。

図表Ⅰ-2-2-11 地域バイオマスの集約化と下水道熱の利用

資料)北九州市