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国土交通白書 2022

第11節 デジタル化による高度化・効率化

■2 i-Constructionの推進~建設現場の生産性向上~

 建設業は社会資本の整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う、我が国の国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」である。人口減少や高齢化が進む中にあっても、これらの役割を果たすため、建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要不可欠である。国土交通省では、インフラ分野のDXを推進する上で中核となるi-Constructionを平成28年度より推進し、ICTの活用等により調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、抜本的な生産性向上に取り組んでいる。

 平成28年度の土工から始まり、舗装工、浚渫工、河川浚渫工、地盤改良工、法面工、構造物工へICTを導入し、舗装修繕工や点検などの維持管理分野や、民間等の要望も取り入れながら逐次対象工種を拡大しており、土工では3割以上の時間短縮効果が確認された。また、積算要領の改定、自治体発注工事に対する専門家の派遣、小規模な現場へのICT施工の導入、ICT施工を行うことのできる技術者の育成等、自治体や中小企業が更にICTを導入しやすくなるような環境整備等も行っている。

 さらに、コンクリートの施工の効率化、施工時期等の平準化に取り組んでおり、令和3年度は施工時期の平準化に資する国庫債務負担行為を約5,700億円に設定した。また、コンクリートの施工の効率化を作業量/人・日で判断した際、プレキャスト製品の活用により、現場打ちの約2~5倍といった効果などを確認した。

 BIM/CIMについては、令和5年度までに小規模なものを除く全ての公共工事においてBIM/CIM活用へ転換することを目指しており、平成24年度からBIM/CIM活用業務・工事の試行を始め、令和3年3月までに累計1,506件を実施し、順次活用を拡大している。3年度は、BIM/CIMモデルを活用して複数業務・工事の事業監理を効率的に行うための運用方法等をとりまとめるとともに、プロセス間の円滑なデータ受け渡しのための3次元モデル成果物の作成方法を明確化し、既存基準要領等の見直しを行った。また、BIM/CIMを扱うことのできる技術者を育成するための研修コンテンツを「BIM/CIMポータルサイト」に公開し、今後更なるBIM/CIMの活用拡大を図っていく。

 新技術の活用については、「新技術導入促進調査経費」を活用して、実用段階に達していない技術 シーズ・要素技術の現場実証や、技術シーズの試行・検証や新技術の現場実装に取り組んだ。また、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の予算を活用して、建設現場のデータのリアルタイムな取得・活用などの革新的技術を導入・活用するモデルプロジェクトを令和3年度は29件実施するなど、革新的技術を活用した建設現場の一層の生産性向上を推進した。

 また、建設現場の生産性向上に係る優れた取組みを表彰するために平成29年度に創設した「i-Construction大賞」について、令和3年度においては国や地方公共団体等が発注した工事・業務の取組や地方公共団体等の取組、i-Construction推進コンソーシアム会員の取組について計22団体(国土交通大臣賞 5団体、優秀賞 17団体)を表彰するなど、i-Constructionの更なる普及・促進に取り組んでいる。

 平成28年度よりこれまで5年間実施してきたi-Constructionの取組について、施策の効果を検証し今後取り組むべき施策の方向性をとりまとめる政策レビューを実施し、令和3年度末にその結果を公表した。これまでi-Constructionは直轄工事を中心に取り組んできたが、民間部門へも取組みを拡大していくことが求められる。さらに、これまでのi-Constructionを「インフラ分野のDX」の取組へと拡大し、インフラ分野のDXを通じて「働き方改革」「グリーン・イノベーション、グリーンインフラの推進」の取組みや、「海外展開」へと拡げていくことが求められる。

図表Ⅱ-2-11-1 i-Construction とインフラ分野のDX の関係
図表Ⅱ-2-11-1 i-Construction とインフラ分野のDX の関係

【関連リンク】

i-Construction URL:https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html