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国土交通白書 2022

第4章 地域活性化の推進

第1節 地方創生・地域活性化に向けた取組み

 少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、政府としては、平成26年11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地方創生の取組みを推進してきた。令和3年においては「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」を策定するなどの取組みを行ってきた。将来にわたって活力ある地域社会の実現と、東京圏への一極集中の是正を目指し、4つの基本目標と2つの横断的な目標の下、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、施策を展開していく。

 国土交通省においては、主に以下の取組みを行う。

・近年激甚化する災害等を踏まえ、改正都市再生特別措置法等に基づき、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制を徹底するなど、災害に強く安心して暮らせるまちづくりに取り組む。

・改正地域公共交通活性化再生法に基づく地方公共団体を中心とした輸送サービスの確保・充実や、独占禁止法特例法に基づく地方バスの会社間連携の促進、MaaSの全国普及等を進めることにより、高齢者等の移動手段の確保や、観光による地域振興を図る。

・アドベンチャーツーリズムのモデルツアーの造成やガイド人材の育成など、新たなインバウンド層への訴求力が高い体験型観光コンテンツ等造成への支援や、キャッシュレス対応・多言語対応・無料Wi-Fi整備等の受入環境整備の推進等を通じて、魅力ある観光地域づくりを進める。

・新型コロナウイルス禍に伴う働き方・住まい方の変化に対応するため、職住近接・一体の生活圏形成のためのテレワーク拠点整備等の推進、住宅団地等におけるコワーキングスペース整備の支援、ワーケーションやブレジャー等の普及促進のための環境整備の支援等に取り組む。

 また、仕事・交通・教育・医療をはじめとする地方が抱える課題をデジタル実装を通じて解決し、地域の個性を生かした地方活性化を図るため、政府としては、「デジタル田園都市国家構想」の具体化を進めている。同構想を通じて、地方の豊かさをそのままに、利便性と魅力を備えた新たな地方像を提示し、施策を展開していくこととし、国土交通省においては、デジタル実装を通じた地方活性化の推進に向けて、主に以下の取組みを行う。

・MaaSや自動運転等の最新技術の実装を進めつつ、行政、交通事業者、他分野の関係者が「共創」を推進し、持続可能な形で地域交通の刷新・再設計(リ・デザイン)を進める。

・各地のローカル鉄道について、国の主体的な関与のもと、鉄道事業者と沿線自治体が相互に協力・協働しながら、デジタル技術の導入等により、利便性と持続可能性の高い地域公共交通へ再構築していくための具体的方策を検討し、その再構築のための環境を整備する。

・ドローン等の新技術の社会実装や物流DXを進め、非効率な商慣習の見直し等も行って既存の物流のあり方を大きく変革する。

・生産性の向上や地域の活性化などにつながるインフラ分野のDX、防災情報の発信など住民の安全・安心に繋がる流域治水DX、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化などまちづくりのDXなどを推進する。

・観光産業や観光地のデジタル実装を進め、消費拡大、再訪促進等を図るとともに、これを支えるデジタル人材を育成し、稼ぐ地域を実現する。

・地方でも利便性が高く安心して暮らし続ける国土づくりを目指して、新たな国土形成計画の策定に向けた検討を進める。

 都市再生については、民間活力を中心とした都市の国際競争力の強化等を図るとともに、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出等による都市再生の推進に取り組んでいる。

 さらに、環境に配慮した民間都市開発事業への金融支援の拡充等、民間資金を活用した脱炭素型まちづくりの推進に取り組むこととしている。